眠っている鳥の涙を飲む蛾を発見、世界で3例目

わざわざ鳥の目から水分を補給するのはなぜか?

2018.10.01
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 あるいは、ガは別の種類の栄養を求めているのかもしれない。タンパク質だ。通常、ガは植物の蜜からタンパク質を摂取しているが、涙にはアルブミンとグロブリンという2種類のタンパク質が含まれているため、これを吸うことで、サプリメントのように栄養を補っている可能性がある。タンパク質の摂取量が増えると、より長く飛べるようになり、繁殖能力が向上し、寿命が延びると考えられる。

「脊椎動物の体液は、主要な代替タンパク質源です」と同氏は言う。たとえば吸血ガは、動物や人間の血をえさとする。

涙を飲まれた鳥に危険はないのか?

 ガが涙を飲む目的が何であれ、涙を飲まれた鳥に影響があるのかどうかは、解明する必要がある。ガは鳥の睡眠中を狙っており、鳥が不快感を示さないことから、涙を飲まれても気にしていないと考えられる。

「通常、眠っている鳥は、危険を感じるとすぐに目を覚まして逃げ出します」とモラエス氏。

参考ギャラリー:まさかの場所で寝ている人々 写真26点
参考ギャラリー:まさかの場所で寝ている人々 写真26点
綱渡りを観覧(Photograph By Sebastian Wahlhuetter, Your Shot

 しかし、涙を飲む行為自体が、鳥に危険をもたらす可能性はある。涙を飲むガは、ウシやスイギュウなどの家畜の目をつつく際に、目の病気を媒介している疑いがある。(参考記事:「目から寄生虫が次々と、14匹を摘出、初の感染例」

 涙を飲む昆虫は、ガだけではない。昨年、スリランカで涙を飲むハリナシミツバチを初めて報告した米カンザス大学のマイケル・エンゲル氏によると、さまざまな昆虫が涙を飲む、新たな報告例が増えているという。

 しかしながら、世界最大の熱帯雨林で、約1300種の鳥や推定250万種にも及ぶ昆虫など、信じられないほど多様な動物が生息するアマゾンのジャングルでの目撃報告は、めったにない。

 涙を飲む行動のほとんどが、アフリカ、アジア、マダガスカルの熱帯地域で目撃されている。「涙を飲む行動は多様であると考えるべきですが、今はまだほとんど知られていません。今回の発見により、その興味深い行動の生物地理学的な範囲が広がりました」とエンゲル氏は話す。

 モラエス氏はアマゾンでのフィールドワークを続け、自分の周囲を注意深く観察するつもりだ。「今回の報告は、アマゾンに生息する2種の動物が関わっている一例に過ぎませんが、このおかげで、他にも何千もの未知の生態学的な関係が存在することに、思いをはせるようになりました」

【参考動画】カメの涙を飲むチョウ / チョウがカメの涙を飲むことは知っているだろうか? その理由を30秒の動画で見てみよう。(解説は英語です)

文=SANDRINE CEURSTEMONT/訳=牧野建志

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