同じようで実はこんなに違う「クラゲ」たち

見た目は似ていても、生態も分類もこんなにも違っていた

2018.09.29
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ハナガサクラゲは、繊細で美しいが危険という、相反する特徴を備えている。海底近くで色鮮やかな触手を揺らして魚をおびき寄せると、毒のある刺胞で仕留めるのだ。
Olindias formosus 傘径10センチ PHOTOGRAPH BY DAVID LIITTSCHWAGER

 不気味、ぐにゃぐにゃ、冷たい、脳がない、魅惑的……。クラゲの不思議さを言葉で表現するのは難しい。体の構造を見ると、脳ばかりか血液も骨格もなく、原始的な感覚器官しかない。そして、分類学的に見ると、クラゲは種類の異なるいくつかのグループに分けられる。

 「クラゲ」と総称される生き物は、互いに近縁関係にないものが多い。生物の系統樹において完全に異なる系統に分類されていて、生息する環境もさまざまだ。海面近くを好むクラゲもいれば、深海に生息するもの、さらには淡水域で暮らすクラゲまでいる。

 こうした異なる生き物をひとくくりに「クラゲ」と呼んでいるのは、ひとえに、水中を浮遊して生きていくのに適した進化を遂げた点で共通しているからだ。それが、ゼラチン質の体だ。

 繁殖方法に関して、刺胞動物のクラゲは多様性を誇り、有性生殖でも無性生殖でも繁殖できる。有性生殖では、受精卵は「プラヌラ」と呼ばれる幼生となり、岩などに付着してポリプになる。ポリプの無性生殖の方法には、種類によって、2つに分裂する方法もあれば、組織塊から増える方法などがある。だが、何よりも驚くのは、死んだ後にポリプと呼ばれる若い段階に生まれ変わるクラゲがいることだ。この奇跡のようなプロセスを、研究者たちは「分化転換」と呼んでいる。

 ミズクラゲやキタユウレイクラゲ、オキクラゲ科のシーネットルなどは、分類上、同じ「綱」に属し、「真正クラゲ」とも呼ばれる。これらは、サンゴに代表される「刺胞動物門」のうちの「鉢虫綱」に分類され、成長した姿は、伏せた皿や膨らんだパラシュートのような形だ。

新しい“体”をいくつも生み出すクラゲ

 猛毒をもつことで恐れられるカツオノエボシは、刺胞動物門のヒドロ虫綱クダクラゲ目に分類されている。カツオノエボシは1つの個体のように見えるが、実は同じ受精卵から発達した多数のヒドロ虫が集まった群体なのだ。受精卵は単に大きく成長するのではなく、さまざまな機能をもつ新しい“体”をいくつも生み出す。たとえば、成長して触手になるものもあれば、生殖器を形成するものもあるという具合だ。

 有櫛動物門に属するクラゲは、それ自身で独立した門を形成する変わり種だ。このクラゲは、「櫛板」と呼ばれる体表を覆う櫛状の繊毛をゆらゆらと動かして泳ぐことからクシクラゲとも呼ばれ、体はさまざまな奇抜な形をしている。

 平たいリボン状の体をしたものもいれば、小さな袋や王冠のような体をしたものもいる。クシクラゲの大半は獲物を捕まえるのに粘着性のある物質を使う。「クシクラゲの触手には、膠胞という接着剤を詰めた袋のようなものがいくつもあるんです」と、米モントレー湾水族館研究所のスティーブ・ハドックは言う。

※ナショナル ジオグラフィック10月号「魅惑のクラゲ」では、原始的な感覚器官しか持たないクラゲの不思議な生態に迫ります。

文=エリザベス・コルバート/ジャーナリスト

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