【動画】絶滅寸前、スコットランドヤマネコを救え

野生には35匹前後、イエネコの倍の大きさで毛が濃く尾は短い

2018.09.25
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「動物の箱舟」にようこそ

 ただし、どちらのグループも、土地利用の改善が不可欠である点には同意している。現在、スコットランドの土地の多くは農地になり、森林は伐採され、ヒツジやシカがいるため、ヤマネコが隠れたり巣を作ったりするための樹木や下草が少なくなっている。さらに、ヤマネコは狩猟用の獲物を襲うことがあり、猟場管理人に殺されることもある。そこで、スコットランド・ワイルドキャット・アクションは、指定地域のヤマネコのIDカードを猟場管理者に渡したり、トレイルカメラを設置してヤマネコを監視し、狩猟用の獲物を襲わせないようにするように勧めるなどして、猟場管理者の協力を求めている。(参考記事:「スコットランド 荒れ野の未来」

 また、スコットランド森林委員会とも協力して、カメラトラップ(自動撮影装置)を利用してヤマネコの活動範囲や巣がありそうな場所を特定し、保護に役立てようとしている。

 動物保護区ワイルドウッド・トラストのディレクターであるピーター・スミス氏は、スコットランドの森林の割合を増やして適切な状態に戻さない限り、スコットランドヤマネコの未来は暗いと主張する。森林を回復させるには農家補助金の制度を変える必要があるという。

「ハイランドタイガー」とも呼ばれるスコットランドヤマネコは、かつては駆除と狩猟の対象となっていた。現在、野生個体は数十匹しか残っていないと推定されている。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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 写真家ジョエル・サートレイ氏とナショナル ジオグラフィックによる、絶滅から動物を守る撮影プロジェクト「PHOTO ARK 動物の箱舟」は、先日、2匹のヤマネコの子ネコを撮影する機会に恵まれた。2匹は母親を殺されて溝の中で死にかけていたところを、ワイルドキャット・ヘイブンのメンバーに保護され、ハイランド・タイトルズ自然保護区のヤマネコのために特別に造られた約4000平方メートルの囲い地の中で育てられた。(参考記事:「PHOTO ARK(フォト・アーク)プロジェクトとは」

 オドノヒュー氏によると、毛にヤマネコの特徴が出てくる生後6カ月にならないと本物のヤマネコかどうか評価できないが、すでに政府が定める最低の判断基準は満たしているという。「見た目からも行動からも、彼らが本物のヤマネコであることは確実です」

 保護区では、子ネコたちは人間とほとんど接触していない。サートレイ氏は特殊なテントの中で撮影したので、彼らは人間の姿を見ていない。子ネコたちは、春になったら西ハイランド地方で野生に帰される予定だ。(参考記事:「「PHOTO ARK」8000番目のかわいい乗組員ピレネーデスマン」

今後の計画は

 ヤマネコの研究は続けられている。IUCNの科学者たちはハイランドタイガーを救うための次の段階の計画を策定していて、その中には、大陸のヨーロッパヤマネコを導入することも含まれている。

 とはいえこれは最後の手段だ。スコットランドヤマネコはヨーロッパヤマネコと同種と見なされているが、毛の密度が高く、森林以外でも生きていけるなど、独自の習性や性質をもつ。

 詳細については不明な点もあるものの、ヤマネコを救うために、イエネコの去勢をはじめとする緊急の対策が必要であることには全員が同意している。

【参考ギャラリー】ボブキャット家族と過ごした夏 写真12点(写真クリックでギャラリーページへ)
遊んだ後、子どもたちは木に登り、眠ってしまった。(PHOTOGRAPH BY KARINE AIGNER)

文=Doug Main/訳=三枝小夜子

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