【動画】他の魚に口の中で子育てをさせるナマズ

托卵するカッコウナマズと、されるシクリッドの攻防が明らかに、最新研究

2018.09.20
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シクリッドの卵はナマズの稚魚の餌に

 卵がまんまとシクリッドの口に入ってしまえば、あとはカッコウナマズの思うつぼだ。シクリッドの卵が孵化するまでは通常、受精から6~7日かかるが、ナマズの卵が孵るのは2~4日後だ。カッコウナマズの稚魚は生まれるとさっそく、まだ孵化していないシクリッドの卵にかぶりつく。

 カッコウナマズの稚魚は、シクリッドの稚魚よりもずっと体が大きく、体長2.5センチほどになることもある。これは母親の体長がわずか10センチ程度であることを考えると非常に大きい。シクリッドの稚魚が1匹もいない場合には、ナマズ同士で共食いをはじめることもある。(参考記事:「共食いも胎盤も! サメは「繁殖様式のデパート」」

「食べるものがほかに何もないとなれば、いちばん意地汚い個体が生き残ることになります」とリチャード氏は言う。

【参考ギャラリー】世界の美しい鳥たち9 写真30点(写真クリックでギャラリーページへ)
自分より体の大きなカッコウの子を育てるヨーロッパヨシキリ。(Photograph By Franka Slothouber, National Geographic Your Shot)

 ビントン氏らは実験を行って、別のシクリッド種の魚が、カッコウナマズの戦略に対して異なる反応を示すかどうかを確認した。アフリカの湖に生息するシクリッドの仲間の多くは、同じように口内保育を行う。研究チームは5年間にわたり、さまざまな大きさの囲いを用意して、カッコウナマズと5種のシクリッドとを一緒に飼育した。対象となった種は、野生で実際に托卵に利用される先のシクリッドCtenochromis horeiのほか、カッコウナマズのいないマラウイ湖とビクトリア湖周辺にすむ3種、そして自然界には存在しないアルビノ(先天性白皮症)の個体だ。彼らはこれら5種のシクリッドそれぞれ100匹について、そのうち何匹に托卵が行われるかを調査した。

 その結果、カッコウナマズともっとも馴染みのある種が托卵された割合はわずか17パーセントだった一方、カッコウナマズのいない湖の魚は、25~33パーセント托卵されていることがわかった。これはおそらく、前者のオスの方がカッコウナマズに対してより攻撃的であるため、あるいは前者の産卵の方が、途中でよそ者が入り込む隙が少ないためであると推測された。

 もっとも悪い結果となったのはアルビノのシクリッドで、彼らはおよそ半数が托卵されていた。ビントン氏は、これはアルビノが比較的攻撃性に欠け、視力が弱いためだと考えている。

シクリッドの対抗策

 リチャード氏によると、タンガニーカ湖にすむ種は、ナマズに対する防衛策を持っているという。ただしその対価は安くはない。ときとして、Ctenochromis horeiはすべてを吐き出す作戦に出る。これはカッコウナマズの卵を処分するうえでは大いに有効だが、シクリッドは非常に疑り深い性質なのか、托卵をされていないときでも、卵を吐き出してしまうことがある。(参考記事:「タンガニーカ湖の固有種に迫る危機」

「彼らはかなりの頻度で、勘違いから自分の卵を吐き出しています」とリチャード氏は言う。勘違いがどこからくるのかはっきりとはわからないが、おそらくはカッコウナマズが近くにいるだけでも十分なきっかけとなるだろうと推測される。

 リチャード氏は言う。「シクリッドはおそらく、卵を見分けられると思います。それでも卵が孵ってしまえば、強い母性本能が働き、見た目のまったく異なる子どもの世話をしてしまうのです」(参考記事:「【動画】なぜかライバルのヒナを育てるワシ」

【参考ギャラリー】ボブキャット家族と過ごした夏 写真12点(写真クリックでギャラリーページへ)
母親が藪の中へ狩りに出かけるまで、この家族は伸びをしたり毛づくろいをしたり、遊んだりして過ごした。(PHOTOGRAPH BY KARINE AIGNER)

文=JOSHUA RAPP LEARN/訳=北村京子

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