イルカに化学物質が蓄積、プラスチック添加剤

生殖への影響や発がん性も懸念されるフタル酸エステル、米国

2018.09.12
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2016年から2017年にかけて17頭のハンドウイルカが調査され、12頭の体内から人間が作り出した化学物質がみつかった。(PHOTOGRAPH BY JIM ABERNETHY, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 米フロリダ州サラソタ湾のハンドウイルカ(Tursiops truncatus)たちは、人懐っこく、好奇心旺盛なことで知られ、観光の目玉となっている。だが最新の研究によれば、イルカたちの体内に人間が作り出した化学物質が蓄積していることがわかり、健康に被害が及んでいるかもしれないという。

 9月5日付けの学術誌「GeoHealth」に発表された論文によると、プラスチックや化粧品、ペンキなどの身近な製品に添加されているフタル酸エステルという種類の化学物質が、ハンドウイルカの体内からみつかった。(参考記事:「動物大図鑑 ハンドウイルカ」

 2016年から2017年にかけて、米チャールストン大学と米シカゴ動物学協会の研究者たちは、サラソタ湾にいた17頭のイルカから尿のサンプルを集めた。尿からは、イルカが摂取してから3カ月ないし6カ月経った後も体内に残っている化学物質を抽出できた。

 野生のイルカからフタル酸エステルが発見されたのは初めてだ。サラソタ湾のイルカたちは40年以上にわたって研究が続けられており、研究者たちにとってはおなじみの顔ぶれである。

「フタル酸エステルにさらされ、ばく露していること自体には驚きませんでしたが、驚いたのは検出された量でした」と、論文の筆頭著者であるレスリー・ハート氏は言う。

 調べたイルカのうち、12頭から少なくとも1種類のフタル酸エステルがみつかった。

 ハート氏によると、尿を調査したのは今回が初めてなので、どのくらいの量が通常の範囲内とされるべきなのかはまだわからない。だがイルカの中には、人の体と同程度の量のフタル酸エステルがみつかったものもいるという。人間のほうがプラスチックや化粧品等、フタル酸エステルを含む製品に多く接触しているはずなので、これは驚くべきことだ。(参考記事:「1億種以上の化学物質と人類の未来について」

【参考ギャラリー】プラスチックごみに翻弄される動物たち、写真10点(写真クリックでギャラリーページへ)
プラスチックのパッケージで遊ぶハンドウイルカ。米国ハワイ。(PHOTOGRAPH BY FLIP NICKLIN, MINDEN PICTURES/NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

イルカの健康への影響は

 今回の研究によって、どういった化学物質がイルカの体内に残るのかはある程度わかった。だが、イルカがどのようにしてフタル酸エステルに接触するに至るのか、そして彼らの健康にどういった影響があるのか、という新たな疑問が浮かびあがった。

 フタル酸エステルはプラスチックやビニールをより軟らかくするために使われるもので、世界中の消費者向けの製品に含まれている。1998年以前には乳児用のおしゃぶりなどにも使われていたが、現在では使用が禁止されている玩具もある。米国国立医学図書館によれば、フタル酸エステルは水、土、そして空気中からも発見されているものの、健康への影響についてはあまりよくわかっていない。(参考記事:「海の哺乳類に「農薬危機」か、同じ遺伝子が損傷」

次ページ:世界中のイルカで調査を

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