【動画】生まれたばかりのキリンの赤ちゃんの奮闘

思わず「がんばれ!」と声をかけたくなる映像、なぜこんなに早く立ち上がろうとする?

2018.09.11
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【動画】転んでも転んでも…赤ちゃんキリンの奮闘(説明は英語です)

 アフリカのサバンナは弱肉強食の世界。生まれたその瞬間から、生き残る術を学ぶ必要がある。キリンの赤ちゃんの動画は、そのことを教えてくれる。

 キリンの妊娠期間は、およそ15カ月。胎児はこれだけの時間をかけて、母親の胎内で十分に成長する。したがって、キリンの赤ちゃんは生まれたばかりでも体重が約100キロ、体長は1.8メートルを超える。

 産み落とされた赤ちゃんは、一刻も早く立とうともがき始め、通常、30分以内には立ち上がる。今回の映像には、そんなキリンの赤ちゃんの奮闘する姿が映っている。人間の赤ちゃんのよちよち歩きのようで愛らしくも見えるが、キリンにとっては、生と死を分かつ瞬間でもある。(参考記事:「【動画】卵から出るフラミンゴ、奮闘の24時間」

歩き出すために生まれる

 生まれた時点では何もできない動物もいれば、比較的自立している動物もいる。前者はたとえば人間。自分で動き回れず、誰かが付きっきりで世話をする必要がある。キリンは後者で、生まれてすぐに立ち上がり、歩き出せるようになる。(参考記事:「【動画】まるで着ぐるみ、器用に立って歩くゴリラ」

 キリンの脳を研究してきたイタリア、パドヴァ大学の神経科学者ジャン・マリー・グレース博士は、キリンは生まれた時点で「小さなおとな」だと言う。「神経系は誕生の段階で既にできあがっており、1歳になった人間と同程度に歩く準備ができています」と同氏。人間の赤ちゃんとは違い、キリンの赤ちゃんの神経系(皮質脊髄路)は生まれながらにして筋肉に命令する準備ができている、と付け加えた。

 人間が歩き始めるまでにとても時間がかかる理由の1つは、比較的大きな頭を持って生まれることだ。霊長類は、脳の発達にエネルギーの多くを注ぐ。一方で、さまざまな捕食動物にねらわれるキリンなどの有蹄類は、筋肉の成長にエネルギーを集中する。言うなれば、キリンにとっては、賢くなることよりも走れることが優先なのだ。

 それもそのはず、捕食動物が多くいる地域でのキリンの赤ちゃんの死亡率は50%以上にもなる、と保護団体「キリン保護基金」の共同創設者ステファニー・フェネシー氏は言う。(参考記事:「キリンにぶら下がって寝る鳥が見つかる」

直面する脅威

 キリンの子どもをねらってやってくるのは、ライオンやハイエナといった捕食者だ。敵が襲ってくると、母親は子の前に立ちはだかり、敵を蹴りつける。ただし、母キリンが子どもをずっと守っていられるわけではない。日中は食料や水を探して何時間も子から離れる必要がある。そして親がいない間、子は攻撃されやすい。(参考記事:「【動画】子は母から学ぶ ピューマの知られざる生活」

 密猟の危険もある。キリンの頭部は狩りの戦利品として飾られ、尻尾がステータスになる社会もある。密猟のほかにも、生息地の分断や病気の蔓延によって、キリンの個体数は減少しつつあり、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは危急種(vulnerable)に分類されている。(参考記事:「動物を救うために殺してもいいのか?」

 残念なことに、人間による脅威は、キリンが走って逃げられるたぐいのものではなさそうだ。

ギャラリー:カユくてたまらない!動物たちの傑作写真30点(写真クリックでギャラリーページへ)
キリン。南アフリカ共和国。(Photograph by Maurizio Signorile, National Geographic Your Shot)

文=Richie Hertzberg/訳=牧野建志

おすすめ関連書籍

動物の心

知性 感情 言葉 社会

知性、感情、言語、社会などのカテゴリーで、動物たちが何を考え、何を感じ、どんな知識を獲得しているのか、最新の興味深いエピソードに触れながら解説します。

定価:本体1,400円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加