収蔵品の約9割を消失、火災のブラジル国立博物館

南米最古の人類化石や恐竜、隕石など「替えのきかない品」2千万点

2018.09.05
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2018年9月2日、炎に包まれるリオデジャネイロのブラジル国立博物館。(PHOTOGRAPH BY FABIO TEIXEIRA, PICTURE ALLIANCE VIA GETTY IMAGE)
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 2018年9月2日夜、リオデジャネイロのブラジル国立博物館で起きた火災により、ブラジルの重要な科学的、文化的遺産が焼失した。

 1818年に設立されたこの博物館は、ブラジル最古の科学機関で南米でも最大級の施設。科学的、文化的に貴重な2000万点の品が収蔵されていたが、当局によると、その90%以上が焼失したとみられる。死者は報告されていない。

 収蔵品には、南米最古の人類化石とされる1万1500年前の頭蓋骨「ルチア」や、ブラジル固有の恐竜マシャカリサウルスの骨格などが含まれている。19世紀のブラジルの皇帝たちがオークションを好んだことから、南米でもっとも古いエジプトのミイラや工芸品などのコレクションも収蔵されていた。

博物館にあった恐竜マシャカリサウルス(Maxakalisaurus topai)の実物大の模型。2006年に撮影したもの。(PHOTOGRAPH BY VANDERLEI ALMEIDA, AFP/GETTY IMAGES)
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 建物自体も、歴史的に重要な意味を持っていた。もともとは、ナポレオンから逃れるために1807年にリオデジャネイロに渡ってきたポルトガル王家が、1808年から1821年にかけて暮らしていた邸宅だった。ブラジルの独立後、1889年まで皇帝の宮殿として使われ、1902年に収蔵品が運び込まれて博物館となった。

 3日のインタビューで、ブラジルのエスピリト・サント連邦大学の古生物学者タイッサ・ロドリゲス氏は、金属製の化石保管棚の一部は被害を免れているかもしれないが、化石が無事かどうかはわからないと話している。リオグランデ連邦大学の生物学者デュアン・フォンセカ氏は、技術者が4万点以上の軟体動物の標本を救い出したことをTwitterで報告している。(参考記事:「戦禍を切り抜け、地下金庫に隠された秘宝」

 しかし、化石、エジプトのコレクション、無脊椎動物の標本など、博物館の本館に収められていた多くの品々は焼失したものとみられる。魚、爬虫類、植物の標本や蔵書は別の建物に収められているため、難を逃れたようだ。

「ニュースでこの悲劇を知って涙がこぼれました。同僚やブラジルの考古学者仲間も、みな同じでした。これは全世界にとっての損害です」。サンパウロ大学の博士課程に在籍するブラジル人考古学者マリア・エステル・フランクリン・マイア・シルバ氏はそう述べている。(参考記事:「焼失しなければ世界遺産? 悲しきシドニーの「宮殿」」

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