動画公開はアマゾンの未接触部族を救えるか

「矢の民」と「穴の男」の貴重映像をブラジルの財団が公開、議論呼ぶ

2018.09.05
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FUNAIが公開したドローンで撮影した2本目の動画。切り開いた空き地に矢をもつ人が見える。(FUNAI)

 ドローンを使ってフレシェイロスの生活を覗き見る手法は攻撃的だとの批判があることは、ペレイラ氏も承知だ。ただ、2017年にドローンを飛ばしたのは、残虐行為があるという噂を確かめるためであり、彼らのプライバシーを侵害する意図はなかったと氏は語る。ともあれ、映像はフレシェイロスに関する貴重な情報となった。こうした情報が、フレシェイロスの人々の保護活動を支える可能性もある。

 FUNAI職員によると、ブラジル国内では近年、未接触部族の存在を疑問視する大企業や政府から「FUNAIがアマゾンの開発を妨げている」との非難の声が上がっているという。テメル政権によってFUNAIの予算が大幅に削減され、資源が豊かな先住民の土地を開発の手から保護する財団の力は弱まっている。(参考記事:「迫る開発の危険、アマゾン未接触部族」

2009年に製作されたドキュメンタリー映画の一コマを拡大した画像。FUNAIのチームから逃れて小屋に隠れる男性の顔が見える。(COURTESY ACERVO/FUNAI)
2009年に製作されたドキュメンタリー映画の一コマを拡大した画像。FUNAIのチームから逃れて小屋に隠れる男性の顔が見える。(COURTESY ACERVO/FUNAI)
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未接触部族に関する情報はわずか

 ブラジル先住民のリーダーたちは、動画を公開するというFUNAIの決定を、孤立したコミュニティを守るための前向きな一歩として評価する。孤立部族は伝染病にはなすすべなく、外部の人間による暴力にもさらされているからだ。

「これらの部族が外部と接触を持っていないという事実そのものが、彼らの立場を危うくすることに拍車をかけているのです。なにしろ大半の人には、彼らはいないことになっているのですから」。孤立部族のために声を上げる先住民活動家のベト・マルボ氏は語る。

 氏はマルボ族で、外部と接触を持ちながらジャヴァリ谷先住民区域内に住んでいる6つの部族のうち1つだ。同区域には、フレシェイロスを含めて11の孤立したコミュニティがあることが確認されている。「彼らを保護する唯一の政府機関の力が弱まれば、孤立部族が危険にさらされる可能性が高まります」と、マルボ氏は指摘する。(参考記事:「【動画】アマゾンの孤立部族を保護へ、ブラジル政府」

 ロンドニア州の「唯一の生き残り」の男性も、ジャヴァリ谷のフレシェイロスも、その実態は謎に包まれている。どちらも、外の世界と平和的な接触を持ったことはなく、また彼らが自分たちのことを何と呼んでいるかすらわかっていない。そもそも、フレシェイロスに対する「矢の民」という呼び名も、高い弓の技術を持つ彼らを、武器としては矢よりも棍棒を使うことの多いジャヴァリ谷のほかの孤立部族と区別するために人々が勝手に付けたものなのだ。

小屋の内部の様子。(COURTESY ACERVO/FUNAI)
小屋の内部の様子。(COURTESY ACERVO/FUNAI)
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