ヒッグス粒子崩壊を確認、物質の質量の起源を解明

3000人による研究が結実、ボトムクォークへの崩壊をついに観察

2018.09.04
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 ATLASとCMSチームは、長年にわたるデータ収集とシミュレーションと機械学習により、探していたヒッグス粒子の崩壊を除くすべての現象を説明することを可能にした。物理学者たちは、2017年までにヒッグス粒子の崩壊の証拠となる十分なデータを収集し、この6月には、自分たちのデータが見かけだけのものではないことを確信していた。

「これは非常に複雑なプロセスで、分析だけでも100人近い大きなチームで行っています」とヘッカー氏は言う。「データを取り、検出器を操作し、数値の検証をする人を合わせると、もっと大きいチームになります。論文の執筆者は全部で約3000人になります」

今回の発見はなぜ重要なのか?

 まずは、この研究によって、物質が質量を獲得するしくみについての私たちの理解が深まったことが挙げられる。これは、宇宙を理解する上で非常に重要だ。研究に参加した東京大学のチームのリリースには、今回の結果によって「物質を構成する粒子の質量の起源が「ヒッグス粒子」であることが解明され、素粒子研究のマイルストーンと言える」と記されている。

 また、ヒッグス粒子は標準モデルの中で重要な位置を占めているため、理論と観察とのわずかな不一致でさえ、新しい物理学へのドアを開く可能性がある。ヒッグス粒子からボトムクォークへの崩壊をLHCが検出できることがわかった今、物理学者たちは、この反応が法則を破っていないかどうかを検証できるようになった。

「年々データが増えているので、理論とのずれが見つかるのではないかと期待しています」と ヘッカー氏は言う。「ずれは大きなものとは限りません。普通、物理学の効果は小さく、すべては精度にかかっています」(参考記事:「神の素粒子の次なるターゲットとは」

 今後、宇宙に隠されているどんな法則が明らかになるのだろうか? ヒッグス粒子が秘密を明かしてくれないかぎり、科学者がそれを確実に知ることはできないとフッカー氏は言う。「私たちは粛々と測定を続けるだけです。そうすれば自然が答えを教えてくれるでしょう」

ギャラリー:ハッブル望遠鏡 50の傑作画像(写真クリックでギャラリーページへ)
ハッブル望遠鏡が観測した天体のなかでもとりわけ有名な棒渦巻銀河NGC1300。 NASA; ESA; HUBBLE HERITAGE TEAM, STSCI/AURA. P. KNEZEK, WIYN
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文=Michael Greshko/訳=三枝小夜子

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