【動画】子は母から学ぶ ピューマの知られざる生活

ピューマの子は生き抜くための知識を母親からたくさん学んで巣立っていく

2018.09.03
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 パンセラによれば、ピューマの生息地はアラスカ州南部からチリの南端まで28カ国にわたる。こうした国の大部分で、ピューマは狩猟対象にすることが認められている。子育て中の雌を殺すことは禁止されているものの、見つけた雌のピューマに子がいるかハンターが判断するのは難しいと、パンセラは指摘する。ワイオミング州狩猟漁業局によれば、同州では狩りが原因で、毎年70匹以上のピューマの子が孤児になっているという。

「これが米国西部に暮らすピューマの現実です」とエルブロッチ氏は話す。「ほとんどのピューマはハンターによって合法的に命を奪われており、狩猟が盛んな州もあります」(参考記事:「動物を殺して動物を救えるか?「娯楽の狩猟」とは」

 ピューマの子が孤児になったら未来はない。ペジオル氏は、生後5カ月のときに母親を殺された2匹のピューマの子の話をしてくれた。2匹はまだ歯が生え替わっておらず、狩りのスキルもなかった。苦労しながら生きていたものの、1匹は餓死。もう1匹も数カ月後、ヤマアラシを捕まえにきたハンターに撃たれて死んだ。

 母親を奪われたピューマの子たちが生き延びようとする姿を見るのは「とても気分が暗くなります」とペジオル氏は振り返る。ペジオル氏は過去の研究結果として、献身的なピューマの母親はおとなになってからの生活の82%を子どもと過ごすと述べた。ピューマの子どもは生後18カ月くらいまで母親と過ごす。この間、身を守ってもらい、食べ物を得、サバイバルスキルの特訓を母親から受けるのだ。

狩猟解禁日を遅らせるだけで効果がある

 今回の調査の目的は、科学的な調査を通じて、中立的な明確な行動指針を示すことにある。エルブロッチ氏は「ピューマの子を守りたいという感情」を育むことだと説明している。

 またパンセラは、狩猟の解禁を12月1日まで遅らせる提案もしている。ハンターたちがピューマの家族を特定しやすくなり、子育て中の雌を誤って狩ってしまう事故を回避できる可能性が高くなるからだ。12月になれば雪も山に降り、子どもの足あとがはっきりとわかるようになる。

「ハンターたちもピューマの個体数を減らしたくないと考えています。つまり、子育て中のピューマは殺したくないということです」とエルブロッチ氏は話す。「今回のパンセラの提案は、ピューマの家族に変化をもたらす一歩です。といっても、これは『常識的な保護』だと考えていますが」(参考記事:「南アがライオン骨の輸出枠を1500頭に、ほぼ倍増 」

【参考動画】ピューマは単独行動の肉食動物と考えられていたが、複雑な社会構造を持つことが明らかになってきた。

文=KITSON JAZYNKA/訳=米井香織

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