青く輝く世界遺産 フィリピン棚田の絶景

「危機遺産」から復活。人間と自然との調和を示すコルディリェーラ棚田群

2018.08.29
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 フィリピン北部ルソン島のイフガオ州の山々の斜面には、どこまでも続くかのような棚田がある。

 山の輪郭に沿って広がる棚田群は、この地域の起伏に富んだ自然の美しさを引き立てている。2000年前から作られ始めたこの棚田群は、人間社会と自然との持続可能な調和を象徴するものとして、世界遺産にも登録されている。

 棚田で米を作る知恵は、古代から代々受け継がれてきた。先人たちは、傾斜地に石と土の壁をつくり、さらに森から水を引く灌漑システムも築き上げた。米作と同じく、こうした土木もすべて手作業で行われたのだ。

 長年にわたって、棚田はイフガオ族の食生活を支えてきた。また文化という点でも棚田は中心的な存在だ。共同体の成員は協力して、田植え、草取り、稲刈りという季節ごとの農作業を行い、それらは月の満ち欠けの周期と結び付けられ、宗教的な儀式とも関連をもつ。

 ただ、現代社会の影響はこの地域にも及び、近年では都会に移り住む若者が増えた。昔ながらの方法で稲作する人は減り、灌漑システムも管理しきれず、棚田の25~30パーセントが放棄されたこともあった。

 こうしたことから、2001年、棚田群は世界遺産として価値を失う危機にあるとされ、「危機遺産」リストに追加された。しかし、人々の努力で2012年にリストから削除された。(参考記事:「フィリピンの棚田群、危機遺産2012」

 フィリピンにとって、棚田は米の生産地だけでなく観光資源としても価値があることから、今後は「持続可能な観光」で一帯の保全を目指すことになりそうだ。

■アクセス:美しい棚田群で、よく知られるのがバナウェの棚田。バナウェはマニラから348キロにあり、毎日バス便が出ている。車で8~10時間ほどかかる。

■オススメのシーズン:夏から秋の間は雨が多く、山の斜面が雲で隠れてしまうことが多い。収穫期、稲穂は金色に染まり美しい。

■棚田に行くには:棚田までのハイキングは観光客に人気だが、歩かなくても青く輝く棚田の山腹は十分美しい。バナウェではガイド付きのツアーがたくさん催行されている。

マニラの北、バナウェの山の斜面に沿って作られた階段状の水田(Photograph by John Javellana, Reuters)
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文=National Geographic Staff/訳=山内百合子

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