ネコの影響は爬虫類でも甚大、全体を減らす可能性

野ネコがいないと爬虫類の増えるペースが2倍に、オーストラリアで実験

2018.08.22
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ネコ以外の原因は?

 米スミソニアン渡り鳥センターのピーター・マラ氏は、この研究を「すばらしい」と絶賛している。氏はこの研究には関与していないが、さまざまな生物に対するネコの影響を研究している。

 マラ氏のような研究者はしばしば、「ネコは生きものの一部を殺しているのではなく、種の集団レベルに大きな影響を与えている」という説の証拠を提示せよと求められるという。マラ氏によると、2016年の学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」には、ネコは2種の爬虫類を含む、少なくとも63種の生物の絶滅に関与しているとする研究が発表された。

「ネコが生きものを殺しているということだけでなく、野生動物の集団レベルに影響を与えていることを示す研究は増え続けており、すでに膨大な数が存在します。今回の研究はその1つに過ぎません」

 動物愛護団体「ヒューメイン・ソサエティ」のケイティ・リズニック氏は、ネコが爬虫類、小型哺乳類、鳥類などを攻撃するのは確かだが、フェンスのある区画内の爬虫類が増加したのは、ネコがいないことだけが原因とは思えないと述べている。ディンゴなどその他の捕食動物や、爬虫類に影響を与えると思われる草食動物も排除されていたと考えられるためだ。

「観察された影響がすべてネコのせいだというのは言い過ぎでしょう」とリズニック氏は言う。

【動画】ネコの鳴き声を科学する スウェーデンの研究者らが、人間とのよりよいコミュニケーションを目指して、ネコの鳴き声を解析。(解説は英語です)

 マラ氏もまた、今回の研究についてはそこが最も懸念される点だと述べている。しかし、論文の著者らは、一帯にはネコの他に爬虫類を捕食する動物がほとんどいないことを指摘している。オオトカゲやフクロネコといった現地の捕食動物は、毒を持つ侵略的外来種のオオヒキガエルによってすでに大幅に数を減らしている。

 一方、地元行政もこれまで、ネコのこうした影響を黙って見ていたわけではない。南オーストラリア州当局は、野ネコ根絶のために、ネコを見つけて毒を噴射するロボットなどの対策に資金を提供している。(参考記事:「ニュージーランド、2050年までに外来種を根絶へ」

 リズニック氏の団体「ヒューメイン・ソサエティ」は、野ネコの数を減らすために、去勢してから別の場所に放す、飼いネコを家から出さないように呼びかけるなどの方法を提唱している。

 一方、個人的にはネコは好きだというマラ氏は、そうした方策は、ひっそりと暮らすことを好む野ネコの性質や、去勢が効果を発揮するにはある程度の規模で実施することが必要であることを考慮すると容易ではないと述べている。子ネコを里親が引き取る、保護施設に収容する、安楽死させるなどの方法によってネコを野からなくすほうが、ネコがほかの動物を殺すのを放っておくよりはいいというのが、マラ氏の考えだ。(参考記事:「野外のネコは排除されるべきか、米で議論」

 マラ氏は言う。「この研究は、より強い責任を持って生態系を管理する必要が人間にはあるということを、改めて気づかせてくれるものです」(参考記事:「外来種の駆除を保全の目的にしてはならない理由」

【参考ギャラリー】ようこそ「ネコの船」へ、50匹の共同生活 写真14点(写真クリックでギャラリーページへ)
甲板で日光浴を楽しむアイシー(8歳オス)。(PHOTOGRAPH BY MUHAMMED MUHEISEN, NATIONAL GEOGRAPHIC)

文=JOSHUA RAPP LEARN/訳=北村京子

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