【動画】失われたワニの尻尾を3Dプリンターで作製

自然に動かせる尻尾を最新技術で実現、再び自由に動き回れるように

2018.08.20
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【動画】3Dスキャナーと3Dプリンターを使って、ワニが自由に動きまわれる人工尻尾を研究者たちが作製した。(解説は英語です)

 ヒーローがみな、マントを身につけているわけではない。人工の尻尾をつけたヒーローだっている。

 アメリカアリゲーターのスタッブスくんは2013年、動物密売グループによる密輸の際に尻尾を失った。スタッブスくんは、他の珍しい動物と一緒にトラックの荷台から発見され、米フェニックス爬虫両生類協会に運び込まれた。その後、最初につけた人工尻尾は、同じくらいの大きさのワニの尻尾をかたどったものだった。(参考記事:「3Dプリンターで動物の装具、徐々に広がり」

 ところが、重心と浮心はそれぞれのワニに固有なため、この方法で作った尻尾では、動きが多少ぎこちなくなってしまった。結局、スタッブスくんは自由に移動できるようにはならなかったのだ。また成長するにつれて、最初に作ったものはもちろん、その後に作った人工尻尾も小さくなってしまった。

 それから5年の歳月が経ち、3Dスキャナーと3Dプリンターは大きく進歩し、簡単に利用できるようになった。(参考記事:「3Dプリンターで月面基地、ESA発表」

 米アリゾナ州、グレンデールにあるミッドウェスタン大学の解剖学准教授ジャスティン・ジョージ氏は、研究テーマを探していた修士課程の学生と一緒に、地元でちょっとしたヒーローになっていたスタッブスくんの新しい尻尾を作ることに決めた。STAX3Dという地元企業と協力し、アーテック社製3Dスキャナーを用いてスタッブスくん専用の尻尾を完成させた。

「ミリメートル以下の特徴でさえ判別できる解像度でした」と、大型爬虫類の運動が専門で、これまでもスタッブスくんの成長に合わせて尻尾を作ってきたジョージ氏は話す。「このようなめざましい進歩をリアルタイムで見られたのは、素晴らしいことでした」

 この精度のおかげで、スタッブスくんの大きさと素材に合った専用の尻尾を作ることができた。

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5週間目のとある出来事

 ジョージ氏は、成長途上の動物の精巧な人工装具を作る最適な方法をいまだに検討中だと言う。成長中の動物には、少し大きめの人工装具を作る方が、明らかに経済的だ。しかし費用の問題は、その時点で動物にとってベストな方法を選ばない理由にはならない。

「3D技術により、ぴったり合うものを作れたり、成長をちゃんと見越したりできるのです」と同氏。(参考記事:「3Dプリンタでフローレス原人の脳サイズを測定」

 幸い、スタッブスくんは人工尻尾にすぐに慣れて、体の動かし方を習得したようだ。人工尻尾をつけて5週間ほど経った頃、救助施設のボランティアを尻尾でぴしゃりと叩いたときのことをジョージ氏は覚えている。

「私の最初の反応は、『素晴らしい!』でした」と笑いながら話す。「もちろん、ボランティアが大丈夫だったのかも、立ち止まって尋ねました。だけど、人工尻尾を自然に使いこなしていたことは、本当に画期的で興奮しました」

 意外にも、スタッブスくんの存在が励みになっている人もいる。スタッブスくんが新しい人工尻尾をつけて動き回るのを見て、自分も義肢をつけることがそれほど苦痛ではなくなった、とジョージ氏に話す人たちがいたのだ。

「スタッブスくんを助けるという当初の目的からすると、これは確かに副産物でした。しかし、このような話を聞けるのは、間違いなく素晴らしいことです」と続けた。

 スタッブスくんの人工尻尾を作ったおかげで、この技術を応用して、他の動物や、最終的には人間をも助けられるという希望が持てたと同氏は言う。(参考記事:「小児救命やピザも、3D印刷の可能性」

文=RICHIE HERTZBERG/訳=牧野建志

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