プラスチックごみに翻弄される動物たち(画像クリックでギャラリーへ)
ビニール袋のそばを泳ぐジンベエザメ。イエメンに面するアデン湾で撮影。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 ノーマン氏は、ジンベエザメの状態はそんなに悪くないと話す。サメは20歳以上と考えられ、生き延びる確率は高いと言う。

「世界的に見れば、ジンベエザメは絶滅の危機にあります」とノーマン氏は続ける。「数が減少傾向にある現状を解決しない限り、ジンベエザメが置かれた危機的な状況は続くでしょう」

 漁具の流出による被害は、サメに限った話ではなく、ほかの海洋生物にも及ぶ。自然保護団体「World Animal Protection」の最近の報告書によれば、毎年70万トン以上の漁具が海に流出しているという。

サメは助けてもらいに来たのか?

 ノーマン氏によると、ジンベエザメは人が体に触れると、すぐ離れて去って行くのが通常の行動だという。ローラー氏が網を切り始めた後も、同じ場所にとどまりつづけたことは、その状況を喜んでいた証拠とも言えるそうで、ノーマン氏は「驚くべきこと」と述べている。(参考記事:「絶滅危惧種ジンベエザメがアフリカの島に『定住』」

「まるで、助けて!と言っているようです。サメはローラー氏が自分を助けようとしていることを理解したのかもしれません」

 カベロ氏は、夫がサメを助けることができたのは、冷静な行動と優れた素潜りの能力のおかげだと讃える。「誰だって助けたいと思いますが、あれだけ長い間息を止めることはできませんからね」

 カベロ氏は、今回の出来事には、もう一つ意味があると続けた。ハワイの伝説では、先祖が動物の姿を借りて戻ってくることを「アウマクア」という。アウマクアは家族の守り神と考えられており、家族もアウマクアを守る義務があると伝えられている。

「ジンベエザメを見るのは初めてのことでしたが、祖先たちと同じように、私たちはまわりの存在との特別なつながりを感じます」とカベロ氏。

「私たちがあの場所にいたことには、理由があると思うのです。あのようなすばらしい体験をして、美しいサメと出合えました。それと引き換えに私たちができる最低限のことが、サメを助けることだったのだと思います」

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