インコとオウム、その人気がはらむ危機と問題

ペットとして高い需要があるこの鳥たちが窮地に追い込まれている

2018.07.30
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ヨウムは幼児と同じように、聞いた言葉を正確にまねることで、言葉を覚える。ゼロの概念を理解していることが実験で証明されたヨウムもいる。PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE,PHOTOGRAPHED AT PARROTS INPARADISE,AUSTRALIA

「鳥の世界の人間」と呼ばれることもあるオウム目は、社会性が高く、飼い主と強い絆を結ぶ。最も人気の高いペットだといわれる理由がそこにありそうだ。

 しかし、その人気がオウム目の鳥たちを脅かしている面もある。森林伐採などによる生息地の喪失と並んで、こうした高い需要がインコやオウムを窮地に追い込んでいる要因だ。オウム目は約350種いるが、そのうち4種を除いて、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」、いわゆるワシントン条約で保護対象となっている。

 オウム目のなかで群を抜いて人気が高いのは、おしゃべり上手なヨウムだ。ワシントン条約事務局によると、過去40年間を通して、少なくとも130万羽が合法的に18カ国から輸出されたという。さらに数十万羽が輸送中に命を落とすか、アフリカで密猟されてきた可能性が高い。

 南アフリカは世界最大のヨウム輸出国で、取引の中心地になっている。以前は注文のほとんどが欧米諸国からだったが、鳥インフルエンザへの懸念や鳥の取引を規制する法整備によって、欧米の市場は縮小した。現在、その穴を埋めているのが中東諸国だ。2016年に南アフリカから同地域に輸出されたヨウムの数は数千羽に上る。

 2016年10月に開催されたワシントン条約締約国会議で、ヨウムは最も絶滅の危険性が高い種であるとして、国際取引の禁止が採択された。引き続きヨウムを輸出するためには、その個体が飼育下で繁殖・育成されたことを、ブリーダーがワシントン条約の検査官に証明しなければならなくなった。

 飼育下で繁殖された鳥の大部分が識別用の足環を付けているが、密猟者も捕獲した鳥に足環を付けるようになってきた可能性がある。そのため、足環だけで飼育個体か野生個体かを見分けることは必ずしも容易ではない。しかし、正確に判別する方法を見つけ出そうと取り組む人たちがいる。

DNAで生まれ育った場所を推定

 南アフリカのクワズール=ナタール大学の遺伝学者たちは、遺伝情報を基に、野生で捕獲された個体か、飼育下で繁殖された個体かを判別できる方法を確立したいと考えている。DNAの解析結果を使えば、鳥からDNAサンプルを採取し、その個体がどこから来たのかを即座に知ることができるようになる。あるいは羽に含まれる同位体を調べれば、何を食べてきたのかがわかり、生まれ育った場所を特定することも可能となるのだ。

 最近、インコやオウムにとって明るい動きが出てきている。これまでワシントン条約による取引規制に応じなかったサウジアラビアとアラブ首長国連邦が、今後は野生で捕獲されたヨウムの輸入をしないと明言したのだ。保全活動でも良い結果がいくつかある。

 自然保護活動家たちは、長期的な課題は一般の人たちが抱いているオウム目に対するイメージを変えることだという。こうした鳥たちは単に鳥籠の中で歌ったり、物まねをしたりするペットではない。本来は、世界各地の自然の中を自由に飛び回る鳥なのだ。そのことに気づかなければ、いつのまにか姿を消すインコやオウムが出てきてしまうだろう。

※ナショナル ジオグラフィック8月号「インコとオウム、人気者の苦境」では、ペットとしての高い需要がインコやオウムを脅かす現状をレポートしています。

文=クリスティン・デラモア/英語版編集部

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