装甲もつ恐竜の新種を発見、アジアの仲間に近縁

7500万年前の「失われた大陸」に暮らした鎧竜、米国が縮小予定の保護区内で発見

2018.07.24
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新種の鎧竜Akainacephalus johnsoniの復元図(Illustration by Andrey Atuchin, courtesy the Denver Museum of Nature & Science)
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 7500万年以上前、ララミディアと呼ばれる失われた大陸に、装甲に覆われた草食の恐竜が暮らしていた。米国ユタ州南部で見つかったその恐竜化石が、このほど新種として発表された。発見地は、トランプ政権が保護区域の縮小を決定している国立モニュメント(米国が指定する保護区)内にある。

 2018年7月19日に科学誌『PeerJ』に発表された論文で、古生物学者はユタ州の国立モニュメント、グランド・ステアケース=エスカランテで発見された恐竜を、アンキロサウルス科の新種として発表。アカイナケファルス・ジョンソニ(Akainacephalus johnsoni、「ジョンソンのとげの多い頭」の意)と命名された。見つかった化石は、頭骨と、尾の先端のこぶを含む骨の一部。特徴的だったのは頭骨だ。ピラミッドのような形で、骨質のとげに覆われていた。(参考記事:「2014年5月号:米国ユタ州 知られざる恐竜の楽園」

 かつて北米大陸は、大きな内海で東西に隔てられていた。その西側の大陸が、この恐竜のいた「ララミディア」だ。ララミディアは亜熱帯大陸で、蒸し暑く、植物は生い茂り、河川が網の目のように走っていたと考えられている。

 ララミディア大陸の南部にいたアカイナケファルスは、ララミディア北部に生息していたアンキロサウルス科の仲間よりも、アジアで見つかっている同科の恐竜に近縁だったようだ。そうだとすると、アジアのアンキロサウルス類は複数回にわたってララミディアに渡り、この失われた大陸の北と南で別々の集団を形成したと考えられる。(参考記事:「奇跡の恐竜化石、世紀の大発見 写真18点」

ソールトレークシティにあるユタ州自然史博物館で、慎重に化石をクリーニングをする古生物学ボランティア、ランディ・ジョンソン氏。 (Photograph by Mark Johnston, The Natural History Museum of Utah in Salt Lake City)
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 化石は岩石で覆われており、本来の姿を見るには岩石を取り除くクリーニングという作業が必要だ。このクリーニングを忍耐強く長い時間をかけて作業したのが、ユタ州自然史博物館のボランティア、ランディ・ジョンソン氏だ。新種の恐竜の名を「johnsoni」としたのは、研究者たちが同氏の卓越した作業に敬意を表したものだ。

「ランディ・ジョンソン氏が頭骨をクリーニングしてくれるまでは、新種かどうかはわかりませんでした」と研究のリーダーである、オーストラリア、ジェームズクック大学のイェル・ヴィルスマ氏はメールでの取材に答えている。

化石豊富な保護区が縮小へ

 今回の発見によって、ユタ州南部の化石の宝庫、グランド・ステアケース=エスカランテ国立モニュメントとベアーズ・イヤーズ国立モニュメントに注目が集まっている。一方で、トランプ政権は、この2つの地域の保護指定を大幅に(それぞれ46%と85%も)縮小しようとしている。

参考ギャラリー:奇跡の恐竜化石、世紀の大発見 写真18点(画像クリックでギャラリーページへ)
奇跡的な保存状態のノドサウルス類の恐竜。今回の記事の恐竜とは別。(PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 アカイナケファルスが見つかった場所は、縮小後も保護区のままとなる。しかし、すぐ近くの海生爬虫類や角竜の化石が埋まっているさらに古い堆積層は、保護区から除外される予定だ。

 アカイナケファルスが見つかった場所の周辺はカイパロウィッツ高原と呼ばれ、古生物学者と鉱業関係者がともに重要だと考えている地域だ。広さは40万ヘクタール。豊かな化石層に加えて620億トンの石炭鉱床があるのだ。科学者は、この地区の利用制限が今より緩いものに変われば、貴重な古生物の化石が、知られることなく壊される可能性があると危惧している。(参考記事:「大きな鼻の角竜、ユタ州で発見」

「グランド・ステアケース=エスカランテで、新種恐竜アカイナケファルスが発見されたことで、貴重な古生物学資源を有する地域を保全することがいかに大切なことか、科学者だけでなく人々に広く理解してもらえたでしょう」とヴィルスマ氏は言う。「米国や世界中の人々には、新たな化石を発見して古生物の知識を広げ、学んだり楽んだりする権利があります」

 この目的を果たすため、古脊椎動物学会は2017年12月、国立モニュメントの縮小に関してトランプ政権を提訴した。同学会による訴訟に、その後複数の環境保護団体と地元のアメリカ先住民が起こした訴訟が併合された。この共同訴訟は現在も続いている。

【参考動画】恐竜101
かつて地球上を、1000種を超える恐竜が歩き回っていた。最大と最小の恐竜、食べ物、行動、絶滅に関する驚くべき事実などを紹介する。(解説は英語です)

文=Michael Greshko/訳=山内百合子

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