木星に12個の新衛星、1個は「幹線道路を逆走」

全部で79個、「でも決してありふれた発見ではありません」と研究者

2018.07.19
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 2017年3月に、新しい衛星10個の存在を示す最初のヒントが現れ(あと2つの衛星候補はその前に発見されていた)、翌月にも再び信号を確認。5月に木星を再観測してようやく全ての衛星が確認された。これにより、木星の衛星は合計79個になった。

 NASAジェット推進研究所のボニー・ブラーティ氏は、「木星から離れた小さな衛星は、多彩な種類がそろっています。すでにたくさん衛星があるところに小さな衛星が加わるのは、ありふれた発見のように思えるかもしれませんが、決してそうではありません」とコメントしている。

9個は逆回り

 12個ある新しい衛星は直径約1〜3キロに収まる。そのうち2つは木星に比較的近く、木星の自転と同じ方向で周回している。太陽系の誕生から数十億年かけて粉々に砕けた、はるかに大きな衛星の生き残りである可能性が高い。

新しく見つかった衛星たちの軌道を示すイラスト。(ILLUSTRATION BY ROBERTO MOLAR CANDANOSA, CARNEGIE INSTITUTION FOR SCIENCE.)
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 一方、木星から遠い3つの衛星群に分類された9個の衛星は、逆行と呼ばれる周り方で反対方向に周回している。内側の衛星グループ同様、これらは大きな衛星が衝突して壊れたときの破片のかたまりと考えられ、もとの星はいずれも直径数百キロあった可能性が高い。

「もとの天体は、いったい何と衝突したのか。彗星?さまよう小惑星?それとも木星系の別の衛星なのでしょうか」とシェパード氏は問う。

 興味深い点がもう1つある。もとの天体は、木星系に当初からあったものではなく、太陽系のごく初期に惑星の重力に捕らえられた天体だろうということだ。奇妙に聞こえるかもしれないが、大きな惑星が小さな天体を捕らえるのは珍しいことではない。特に、初期の太陽系ではよく起こっていた。

 土星の最も有名な衛星の1つ、フェーベは、カイパーベルトという太陽系の外縁部から引き寄せられた。海王星の軌道よりも外側の、凍りついた破片が集まっているところだ。そして、おそらく偶然ではないのだろうが、海王星の最も有名な衛星であるトリトンも、カイパーベルトにいて引き寄せられた天体だ。(参考記事:「土星の衛星エンケラドスに有機高分子、初めて検出」

いちばんの「変わり者」

 そしてもう1つ、小さな変わり者の衛星がウァレトゥード(Valetudo)だ。新発見の12個のうち、これだけは公式に名前が提案されている。天文学の命名規則に従い、この衛星に対して提案されている名前も神話に由来する。ローマの健康と衛生の女神だ。

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