「人と恐竜は共存できる」科学的で確かな理由

恐竜を復活できる? すると何が起きる? 科学者に聞いてみた

2018.07.13
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飛躍的に進歩する遺伝子技術

 米国では、いくつかのチームが、古代のDNAの解読と遺伝子編集技術を使って、失われた種を復活させようと懸命に取り組んでいる。ベントン氏によれば、20年前に絶滅した動物をよみがえらせることでさえ、現時点では不可能な挑戦だという。(参考記事:「絶滅した動物種で初のクローン作成」

 ただし、CRISPRと呼ばれる手法を用いた遺伝子編集技術はものすごいスピードで進歩している。ジュラシック・パークの科学者チームが行ったように、さまざまな動物の遺伝子を継ぎ合わせることはすでに実現している。(参考記事:「生命を自在に変えるDNA革命」

 ジュラシック・パークの1作目では、琥珀の中から発見された恐竜のDNAの欠損部をカエルのDNAで補完した。現実世界でも、米ハーバード大学の遺伝学者ジョージ・チャーチ氏率いるチームが、マンモス復活プロジェクトの一環として、古代のマンモスの遺伝子を現代のアジアゾウのゲノムに挿入しようと試みている。(参考記事:「9900万年前のカエル化石発見、熱帯雨林産で最古」

「恐竜の復活を不可能とは言いたくありません」と、カナダ、トロントのロイヤル・オンタリオ博物館に所属する、よろい竜専門家のビクトリア・アーバー氏は述べている。「多くの科学分野で、絶えず驚くようなブレイクスルーが起きています。恐竜復活のような、今は想像できないことも25年後、50年後、100年後には可能になっているかもしれません」(参考記事:「復活する絶滅種」

 もし絶滅種のゲノムを操作し、恐竜を復活させるというハードルを越えられたら、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』に登場する恐竜「インドラプトル」のように、面白い特徴をもつデザイナー種をつくることすら比較的たやすいだろう。

【関連ギャラリー】9900万年前のカエル化石、熱帯雨林産で最古 画像5点(画像クリックでギャラリーページへ)
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樹脂にはまって逃げ出せなくなった古代のカエルの想像図。樹脂はやがてカエルを閉じ込めた琥珀になった。(PHOTOGRAPH BY DAMIR G MARTIN)

人と共存できるのか?

 それでは、現代に完璧な恐竜をつくり出したと仮定した場合、恐竜は人のそばで生き延び、繁栄できるのだろうか?(参考記事:「恐竜と似た声の動物が人類と共存、5万年前に絶滅」

 私たち現代人とライオン、オオカミ、クマなどの大型肉食動物の関係を考えると、人と捕食者がうまくいかないのはほぼ明白だ。しかも、ほとんどの場合、人が繁栄し、動物が衰退する。

 アーバー氏は、装甲に覆われたアンキロサウルスが自然の中を歩き回る世界に暮らしてみたいと述べている。しかし、大型草食動物でさえ、人と共存するのは難しいという。私たち人間が作物の栽培や住宅、居住区に莫大なスペースを使っているためだ。

「私たちは大型動物に領土を侵害されることを嫌います」とアーバー氏は話す。「ティラノサウルスのように巨大な捕食者との共存は想像できません。実際、北米の大部分では、オオカミを受け入れられず、ほぼ一掃してまいました。オオカミの70倍以上もある捕食者とどうすれば共存できるのでしょう?」(参考記事:「巨獣はなぜ消えた?」

次ページ:私たちと恐竜はずっと共存してきた

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