長く巣に留まりたいひな、早く送り出したい親鳥

鳴き鳥が巣立つ時期の謎を解明、カギは巣内外の生存率

2018.06.29
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 巣立ちまでの期間が長いとひなが生き延びやすくなる一方、その親やきょうだいには災いをもたらす可能性がある。ひながいる時期が長引くほど、巣が天敵に襲われやすくなることが知られている。たいていの親鳥が早く巣立つようひなを促すのはそのためだ。(参考記事:「鳥はなぜ消えるのか、研究進む「渡り」」

「ひなが巣にいるときに天敵に見つかったら、ひなたちの全てが食べられてしまいます」とマーティン氏は話す。ひな1羽1羽にとっては、長く巣にいたほうが生存率は高いものの、ひな全体で考えれば、早く巣立たせて全滅を防ぐほうが結果的に生存率は高くなる。だから、「ひなは長く巣にいたがる一方、親鳥は早く出て行かせたいのです」

【参考ギャラリー】世界の美しい鳥たち、写真49点
【参考ギャラリー】世界の美しい鳥たち、写真49点
キリッとした目のユキヒメドリ Portage, Indiana, United States(Photograph By Greg Marsh, National Geographic Your Shot)

 したがって、いつ巣を出るか、親鳥はひな鳥と折り合わなければならない。その時期は、巣の危険度にもよる。たとえば、ユキヒメドリなど、地面かその付近に敵に襲われやすい巣をつくる鳥はひなを早々に追い出すのに対し、マミジロコガラなど、木のうろに比較的安全な巣をかける鳥はひなを長く巣にとどめる。(参考記事:「【動画】巣立った後も親のすねをかじるペンギン」

他の種や長期的な研究も

 過去の研究でも、動物の運動能力や生存率は対象にしていた。しかし、特定の種でこれらの要素に同時に目を向けた研究はほとんどなかった。また、この2つの因果関係を鳥類で調べた例はない。

「野生下でひなの生き残りの結果が研究されたことはありませんでした」とマーティン氏。

 今回の研究結果は驚きではなかったものの、将来の研究には有用だ。マーティン氏は熱帯の鳥を研究しており、今後のプロジェクトでは、こうした種でも運動能力と生存率の関係に着目することもありうると話している。(参考記事:「野鳥のクチバシ、餌付けで長く進化か、英国」

「今回調べたのは、短期的な影響です」とマーティン氏は付け加えた。「より長期的なひなへの影響も調べる必要があります」

文=Elaina Zachos/訳=高野夏美

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