生物学者たちが、米国カリフォルニア州のシミ・ヒルズで一番新しい住人に出会った。ふわふわした4匹のピューマの赤ちゃんだ。すべてメスで、シミ・ヒルズでの科学的な記録としては初の出生例となった。
ロサンゼルスの北西約50キロに位置する丘陵地シミ・ヒルズは、2本の大きな幹線道路に挟まれており、大型ネコ科動物の姿は長く見られなかった。(参考記事:「大型ネコ科の特集7本まとめ」)
ピューマは洞穴や密生した低木林に巣穴を作ることが多いため、生まれて間もない子どもを見つけるのは簡単ではない。だが今回は、労せずに見つかった。2018年2月、米国立公園局の生物学者たちが、母親である「P-62」にGPS首輪を取り付けていたため、行動を追跡できたのだ。生物学者のジェフ・シキッチ氏は、P-62の動きがきわめて狭い範囲に限られてきたのに気付き、この若い母親が2度目の出産準備に入ったのではないかと考え始めた。巣穴を特定したシキッチ氏らのチームは、母親が離れている間に子どもたちを調べようと、辛抱強くチャンスを待った。
6月11日、ついにそのチャンスがやってきた。かつて原子力や兵器の実験施設だったサンタスザーナ野外実験所の敷地で、チームは小さな洞穴に4匹がいるのを発見。健康状態を調べ、1匹ずつ耳に識別タグを付けた。それぞれP-66、P-67、P-68、P-69と命名された4匹は生後4週半とみられ、とても健康だった。(参考記事:「【動画】ピューマの赤ちゃんが誕生、米LA郊外」)
危険な道のり
シキッチ氏はプレスリリースの中で、次のようにコメントしている。「シミ・ヒルズにある巣穴で幼獣にタグを付けたのは、これが初めてです。ここは偶然にも、南のサンタモニカ山地と、北の広大な自然とを結ぶ重要な地点でもあります」
サンタモニカ山地やその周辺には、少なくとも50頭のピューマが生息しているが、シミ・ヒルズに個体が定着したことはほとんどない。この区域にたどり着くために、P-62は高速道路101号線か州道118号線のどちらかを渡らねばならなかったはずだが、これは命がけの道のりだ。(参考記事:「【動画】ピューマの友情行動を初確認、通説覆す」)