ヘビはなぜ人を殺すのか
アミメニシキヘビは、決して頻繁に人を襲うわけではない。ふだん食べるのは哺乳類(シカくらいの大きさまで)や鳥。ときにワニなどの危険な獲物を食べる姿が目撃されることもある。(参考記事:「【動画】激闘!ヒョウ vs 巨大ニシキヘビ」)
2017年3月にインドネシア人男性が被害に遭った際、専門家たちは森林伐採が原因ではないかと考えた。同国ではパーム油産業のための森林破壊が進んでいる。生息地の森を追われたヘビが、いつもとは違う獲物を狙わざるをえなくなったのでは、という見解だ。
「大型のヘビは樹上を好み、食料の多くを森や木で得ています」とニッカーソン氏は言う。生息地が失われれば、別の手段で生き延びるしかない。
しかし、チバさんを襲ったヘビも同じく生息地を追われたかどうかは、今のところわかっていない。また、ボバック氏によると、人間とヘビとの摩擦は今に始まったことではない。
「人間と大型のヘビは、はるか昔からずっと関係があったのです」とボバック氏は言う。研究によれば、人間の脳には、ヘビを見て恐怖を感じる機能が進化の過程で組み込まれた可能性もあるという。
進化をともにしただけではない。2011年に発表された研究によると、フィリピンのジャングルに暮らすある部族は、ヘビとの争いを続けてきたという。調査によれば、その村の男性の26%がニシキヘビに襲われた経験を持っていた。
人がヘビに襲われる事故が実際に増えていると結論づけるには、さらなる調査が必要だ。ボバック氏は、生息環境が少しでも変化すれば、ヘビの行動も変化する可能性があると言う。ただし、どれほど変化するとヘビが人を狙わざるをえなくなるのかは、まだよくわかっていない。今回のようなニュースが目立つようになったのは、単にソーシャルメディアやカメラが普及したことが要因である可能性もある。(参考記事:「壮絶!キングコブラ vs ニシキヘビ、共に死す」)