【動画】中国の人気者、チュウゴクオオサンショウウオ。(説明は英語です)

 チュウゴクオオサンショウウオは、体長180センチ、体重64キロにもなる、世界最大の両生類だ。パンダのようなカリスマ的人気はないが、健全な生態系を維持するには欠かせない存在だ。

 2018年5月に発表された2つの研究結果によると、チュウゴクオオサンショウウオはこれまで1種しかいないと考えられてきたが、実際には少なくとも5種は存在することが明らかとなった。(参考記事:「キリンは1種でなく4種との報告、遺伝子解析で」

「こんなに多様性があるとは思っていませんでした。少なくとも5種、多ければ8種存在するかもしれません。これには衝撃を受けました」。そう語るのは、カナダにある王立オンタリオ博物館生物多様性・保全生物学センターで爬虫両生類学の上級学芸員を務めるボブ・マーフィー氏だ。2本の論文のうち1本の著者でもある。

 これらの種は中国の川や湖にそれぞれ個別の生息域をもっているが、人間はすでにそのうちの数種を絶滅に追いやりつつあるかもしれない。チュウゴクオオサンショウウオは、国際自然保護連合(IUCN)によって近絶滅種(critically endangered)に指定されており、密猟などがその要因とされている。

「しかし、もっと大きな問題は、これらの種に対する現状の保護策です。考え方を変える必要があります」と、マーフィー氏。

ギャラリー:素顔のオオサンショウウオ 写真10点(画像クリックでギャラリーページへ)
Photograph by Yukihiro Fukuda

遺伝的な多様性が乱れる

 チュウゴクオオサンショウウオは野生ではわずかになっているが、実は盛んに養殖され、高級食材として売られている。体重2キロの個体が、市場によっては1500ドルで売られることもあり、スープやシチュー、その他の料理に使われる。(参考記事:「中国でオオサンショウウオは「高級魚」」

 これまで中国政府は、種の保存を目的として一部の養殖サンショウウオを野生に放すよう業者に要請してきた。こうして、過去10年間で7万2000匹以上が野生に放された。

 しかし、この保護策には欠点があると専門家は指摘する。養殖場で育ったサンショウウオは、遺伝子の検査がされず、病気の有無についても確認されないまま放される。それらが野生にいる別種のサンショウウオと交配すると、遺伝的なかく乱が起きて悪影響を与える恐れがある。(参考記事:「キューバワニ、野生交雑で絶滅の危機」

「系統が乱れてしまいます。そうすると成長率が低下したり、弱いサンショウウオが生まれたりして、個体群が失われかねません。それら悪条件がすべて重なれば、絶滅のおそれもあるのです」

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