メキシコ湾の水深2300メートルの深海で、サンゴの「秘密の花園」が発見された。
米海洋大気局(NOAA)が動画を公表、科学者らもメキシコ湾でこうした群体を見たことがないという。
サンゴの群体が見つかったのは、調査船オケアノス・エクスプローラーによる23日間の遠征調査でのこと。オケアノスは米政府が出資する唯一の海洋研究船で、調査は2018年4月中旬から行われた。メキシコ湾の深海についてはまだほとんど知られておらず、研究者は無人探査機(ROV)を使うことで、船上にいながら海中を観察できた。(参考記事:「【動画】奇妙すぎる深海イカを発見、新種か」)
今回見つかったサンゴは、ウミトサカ目、トクササンゴの仲間。比較的深い海で見られるサンゴで、成長して「森」を作る。しかし、研究者らが驚いたのは、これほど極端に深い場所に、これほど密集したサンゴの群体があったことだ。群体は、フロリダ半島の西岸に近い海底谷のそばで発見された。このサンゴは切り立った崖の側面でも成長でき、うちわのように広げた体で潮の流れを感知したり、食べ物を捕まえたりする。(参考記事:「メキシコ湾でサンゴの群れが死滅」)
また今回の調査では、非常に密集したカイメンも発見した。そこには、クモヒトデやワーム、甲殻類などが生息していた。
1000年近く生きている?
このサンゴの「庭園」は、深海の完全な暗闇の中でも、生態系がいかに繁栄できるかを示している。NOAAの推定によると、このサンゴは1000年近く生きている可能性があるそうだ。サンゴがこれほど密集して成長するためには、多くの条件がそろう必要がある。餌となる動物プランクトンや藻類のような小さな生物と、安定した環境が必要だ。(参考記事:「深海のサンゴにも被害、原油流出2年」)
オケアノスによる今回の調査では、このほかにも、テキサス州とフロリダ州西部に挟まれた海域の、深海魚が生息する領域や、泥火山や難破船がある領域を探査した。(参考記事:「【動画】幽霊のような深海魚を発見、おそらく新種」)
NOAAはこれらのデータを収集することで、重要な海域の地図を作成し、自然保護政策を策定するための基礎資料を提供しようとしている。
おすすめ関連書籍
20年以上、世界各地の海の写真を発表してきた水中写真家、鍵井靖章が今回選んだテーマは、見たことのない「未知の海」。232ページ、写真193点の大ボリュームで魅せる水中の絶景を、五つの切り口で存分に味わえます。
定価:3,520円(税込)