【動画】生きた細胞内の高精細3D映像化に成功

ノーベル賞技術に天体観測技術を応用、超クリアなライブイメージングを実現

2018.04.24
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やさしい光源「格子光シート」

 もう1つの問題は、従来の顕微鏡では、晴天のサハラ砂漠の日差しよりも数百万倍も明るい光を利用するため、研究しようとしている細胞を傷つけたり、殺すことすらあるということだ。

「実際には、生物はこのような虐待に耐えるようには進化していません。細胞を抹殺するわけではないのなら、このかわいそうなものに私はいったい何をしているのだろうか? これで本当に通常の状態を見ていることになるのだろうか? と必ず疑問に思います」とベツィグ氏は話す。

 そこで、新たな顕微鏡では、2014年に同氏が共同開発した格子光シートと呼ばれる技術を取り入れた。微小な光源が格子状に置かれた薄い光のシートを照射する方法だ。この光のシートを、細胞をスライスするように1秒間に何百回も照射することで、より速く、より詳しく、より穏やかな条件で生きた細胞を撮影できるようになる。

 そして、この撮影法と補償光学を併用することで、ベツィグ氏らは高精細3Dモデル画像の作成に成功した。

 今のところ、フランケンスコープでは、透明な生物しか観察できない。人間の皮膚のように、あまり光を通さない表皮をもつ生物の研究は、今後のさらなる課題である。しかし、技術が進歩して、健康な細胞と病気の細胞の双方を研究し、その違いを解明できれば、医学の研究と医薬品の試験に役立つようになるだろう。(参考記事:「7つの細菌に効く薬と原発に代わる波力発電」

 ところで、素晴らしい映像を見たときの最初の感動は薄れやすいものだ。この画像を初めて見たベツィグ氏は、「このまま引用して構いませんよ」と前置きしたうえで、こんな感想を漏らしたことを教えてくれた。「マジスゲー(f---ing awesome)」

文=NICK LUNN/訳=牧野建志

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