コーネル大学のオンラインコースでペットの心肺蘇生法(CPR)について教えているフレッチャー氏は、リスのように胸の幅が狭い場合は(イヌやネコの多くも同様)、胸骨に直接圧迫を加えるのではなく、脇腹から押すほうがいいと語る。2本の動画を比べると、ベルシートさんのやり方のほうが、より適切な方法だそうだ。

 フレッチャー氏は、胸への加圧が実際に動画のリスの命を救ったかどうかははっきり言えないと語るが、その可能性は当然ある。CPRは、胸への加圧によって血流が促される体形を持つすべての動物に対して効果があり、リスもその条件に当てはまっている。(参考記事:「【動画】リスはこんなに面白い、4つの知的行動」

「ウシやウマなど、もっと体の大きな動物の場合は対処が難しい」とフレッチャー氏は言う。ウシやウマの心臓マッサージは、人間の力では難しいからだ。

 もう一つ救命処置で大事なことがある。人工呼吸だ。米国では、人間を心肺蘇生する場合、胸部圧迫をすれば、マウス・トゥ・マウスでの人工呼吸法は必要ないとされている。一方でイヌやネコに対しては、マウス・トゥ・マウスは有効だとフレッチャー氏は言う。

動物救助の誤解

「人々が野生動物に心を寄せて、ケガをした動物を救おうとする姿は、いつ見ても心温まりますね」。こう語るのは、全米野生生物連盟のナチュラリストで、ナショジオ ワイルドのTV番組『ペット・トーク』の司会も務めるデビッド・ミゼジュースキー氏だ。

 氏は続ける。「ただ、覚えておいていただきたいことがあります。動物を救うつもりの処置が、反対に動物を傷つけてしまったり、命を奪ってしまったりすることがあり得るということ。また、野生動物には、人間が自分を助けようとしているかどうかはわかりません。動物から噛みつかれたり、ひっかかれたりする危険があることも忘れないでください」

「野生動物を救いたいなら、自分だけで判断するのは禁物です。いつでもできるとは限りませんが、専門家の助けを求めるようにするのがいいでしょう。直接助けるのは、最後の手段です」とミゼジュースキー氏はアドバイスする。

おすすめ関連書籍

動物の心

知性 感情 言葉 社会

知性、感情、言語、社会などのカテゴリーで、動物たちが何を考え、何を感じ、どんな知識を獲得しているのか、最新の興味深いエピソードに触れながら解説します。

価格:1,540円(税込)

文=Jason Bittel/訳=北村京子