深海でじっとしていると長生きに、最新研究

200種以上の付着生物の寿命を分析、深いほど長寿だった

2018.04.05
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 深海のように安定した環境では、「不慮の事故で死ぬ」可能性が低く、したがって、種が生き残るうえで長寿だと有利になりやすい。対して、浅い海には捕食生物など危険が多く、若いときに死ぬ確率がはるかに高い。要するに浅い海の生物たちには、そこまで長く生きられるように体の修復機能を進化させるメリットがないのだ、とドーク氏は言う。(参考記事:「深海の食物網、クラゲがカギ、30年分の動画解析」

 ほかにも、これらの付着生物がクローンで増える点も長寿の要因ではないかと、モンテロ・セラ氏は指摘する。「サンゴやウミトサカの場合、遺伝的に全く同じポリプをいくつも作って群体を形成しています」。たとえ群体の一部が死んでも、クローン生物は無性生殖によって自らのコピーを作り、加齢による劣化を免れるので、全体としては完全に機能した状態をいつまでも維持できる。(参考記事:「最も高齢な動物たち、6つの例」

 ドーク氏も、クローンを作ることで「体の古くなった部分を新しいものと入れ替え、常に若々しい体を保つことができます」と説明する。人間のようにひとつの個体でできている生物は、ただ歳をとって衰えてゆくだけである。

深海にも及ぶ環境汚染

 だが、そんな深海生物に危機が忍び寄ろうとしている。人間が活動している場所から遠く離れた深海にまで、環境汚染が広がっているのだ。(参考記事:「マリアナ海溝の深海生物、中国最悪の川超える汚染」

 気候変動が深海の生態系に影響を与えていることを示す研究もあり、さらにプラスチックなどの海洋ごみも深い海で見つかっている。

 深海に生息する長寿の生物は長い時間をかけて成長、繁殖するため、これまで経験したことのない脅威にさらされると、回復するのが難しい。

 また、人間が遺棄した漁具が繊細な生態系を傷つけ、トロール漁など深海まで達するような漁法も、「付着生物や回復に数百年かかる環境をみるみるうちに破壊してしまいます」と、モンテロ・セラ氏は警告している。(参考記事:「太平洋ゴミベルト、46%が漁網、規模は最大16倍に」

【参考ギャラリー】奇妙で神秘的なガラパゴス沖 深海の最新写真10点(写真クリックでギャラリーページへ)
体を前後に曲げ、小さな扇形の器官を動かして泳ぐナマコ。 (Photograph by Ocean Exploration Trust)

文=Liz Langley/訳=ルーバー荒井ハンナ

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