どこに落ちる? 中国の宇宙ステーション

30日にも100キロ近い残骸が落下する可能性

2018.03.29
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 中国当局は、天宮1号の破片が被害をもたらす可能性は低いと国連に報告しており、ジャー氏もマクダウェル氏もその公算が高いとみている。

「地球は海の占める割合が多いので、仮に破片が落下したとしても海に着水する可能性が高いでしょう」とジャー氏。

「一部が陸地に落下したとしても、沿岸部に人口が集中しているため、人口密集地に破片が落下する可能性はさらに低くなります」(参考記事:「宝くじより高い? 隕石に当たって死亡する確率」

ゴミだらけの宇宙

 幸い被害がなかったとしても、天宮1号に起こっている今回の状況は、宇宙機関や製造業者にはいい教訓だ。宇宙空間で大きな物が制御不能に陥ったときのために、バックアッププランを整えておく必要がある、とジャー氏は語る。(参考記事:「スペースXのロケット爆発、悲劇から学ぶ」

 国際宇宙ステーションは、アメリカンフットボール競技場ほどの大きさがあり、天宮1号と同様の軌道を周回している。NASAは、国際宇宙ステーションがその役割を終えた時、どのように軌道から逸らせるかを非常に懸念しているとジャー氏は言う。(参考記事:「ISS大気圏再突入はいつ、どのように」

「おそらく、この(中国の宇宙ステーションの)問題は、各国の政府機関が、研究者や研究機関へ再突入の技術を開発する資金を提供するきっかけになるでしょう。このような問題はなくなるどころか、繰り返し起こるのですから。軌道を回る人工衛星などの数が増えれば、リスクも増え続けます」(参考記事:「宇宙に打ち上げられた自動車、地球に衝突の可能性」

 現在、5万個を超えるゴミが地球を周回しており、軌道上での衝突が実に心配だとマクダウェル氏は付け加えた。

「自分たちが撤去しなければ、地球の周りに浮かんでいる破片のせいで宇宙空間が使えなくなってしまいます」

有人宇宙船が天宮1号にドッキングする場面。中国国営メディアがイラストで伝えた。(LI JUNFENG, IMAGINECHINA/AP)
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天宮1号を見る方法

 今、世界中の望遠鏡が天宮1号に向けられている。徐々に地球に向かってくる最後の飛行を見守っている。また、天体望遠鏡に関するさまざまな活動を展開しているサイト「Virtual Telescope Project」などがライブ配信も行っている。

 肉眼でも見られる。飛行機との違いは一目瞭然だ。天宮1号は、多くの人工衛星や国際宇宙ステーション同様、点滅しない白い光として一瞬にして空を横切って行く。

 該当する緯度に住んでいる人々は、時間によっては天宮1号の再突入を見られるかもしれない。

 特に北米大陸から観測すれば、早朝の空に星のような天宮1号が見えるだろう。一方、緯度60度以上の場所からは見えない。衛星追跡ウェブサイト「Heavens Above」では、自分の位置を入力すれば、特定の場所から見える時間がわかるようになっている。

文=Andrew Fazekas/訳=上村知子

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