【動画】世界中で大量に捨てられ、海に流れ込むプラスチックゴミ(解説は英語です)
「オーシャン・クリーンアップ」の海洋学者で、今回の論文の筆頭著者であるロラン・ルブルトン氏は、研究チームはこれまでよりも大きなゴミを算定しようとしたと話す。
「漁具が多いだろうと分かってはいましたが、漁網が46%というのは予想を超えていました」とルブルトン氏。「当初、漁具はきっと20%台だろうと考えていました。海洋ゴミに関しては、それが世界的に異論のない数字だからです。20%が漁業関連、80%が陸地由来というわけです」
故意に捨てられた、あるいは誤って流された網を、研究チームは「ゴーストネット」という造語で呼んでいる。これが海を漂い、クジラ、アザラシ、ウミガメなどに絡みつく。プラスチックのゴミによって窒息したり傷を負ったりする海洋哺乳類は、毎年10万頭に上ると推定されている。(参考記事:「投棄された網にかかって死んだオナガザメ」)
【動画】3800万個のプラスチックゴミに覆われる南太平洋の孤島(解説は英語です)
現在「オーシャン・クリーンアップ」は、このようにゴミと化した漁具の大半を取り除く仕組みを開発しており、今年中に実行に移す計画だ。
「興味深いのは、採取したゴミの少なくとも半分が、一般消費者が出したプラスチックではなく、漁具だったことです。これまで議論されていたのは、主に一般消費者が出すプラスチックでした」。自然保護団体「オーシャン・コンサーバンシー」の主任科学者、ジョージ・レナード氏はこう話す。「この研究によって、捨てられたり流されたりした漁具が、多くの動物の死因として見過ごせないことがあらためて確認できました。問題を確実に解決するために、プラスチックに関する議論の幅をもっと広げる必要があります」(参考記事:「【動画】鼻にストローが刺さったウミガメを救助」)
プラスチック汚染をなくす活動をしているNPO「ファイブ・ジャイルズ・インスティテュート」の共同設立者で、海洋ゴミに詳しいマーカス・エリクセン氏は、この研究について注意を促した。限定的な調査のみに基づいているため、ゴミベルト全体の規模を正確に見積もるのは難しいという。だが氏は同時に、漁具がこれほど多く蓄積されていることを示す重要なデータだとも指摘した。