なぜか高齢なメス選ぶオス、クモで判明、利点なし

繁殖力が低いうえにハイリスク、メスのフェロモン量が変化か

2018.03.23
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 彼らはイスラエル中心部の公園で亜成体のメス、若い成体のメス、高齢のメス合計9匹を捕獲し、温室の中に均等に配置した。

 そして交尾経験のないオス11匹をその中央に置き、45分毎に3回観察した。「大抵の場合、オスは皆、高齢のメスをめぐって争っていました」と、ウェイナー氏は言う。

 研究チームはまた、交尾経験のないオスを、亜成体のメス、若い成体のメス、高齢のメスと1対1にさせて、それぞれの交尾行動を比較した。

 オスは高齢のメスとは100パーセント交尾したが、亜成体と交尾したのは半分以下にとどまった。

手強い相手

 その一方で、交尾相手に食べられた数をみると、亜成体のメスに食べられたオスは皆無だったが、高齢のメスでは57パーセント近くが犠牲になった。

 しかも、高齢のメスと交尾する場合、オスは相手の気を引くためにかなりの労力を費やさなければならない。その求愛行動は、最長6時間に及ぶこともある。(参考記事:「脚をチラッと見せてメスを誘うクモを発見」

【動画】金の絹糸で巣を作るクモ/ジョロウグモの仲間(英語でゴールデン・オーブ・スパイダーと呼ばれる)は、見事な巣を作ることで知られる。彼らの作る糸はスチールの5倍の強度があり、綿よりも柔軟だ。 (解説は英語です)

「亜成体が相手だと、オスはほとんど求愛行動をしません」とウェイナー氏は言う。「少しだけメスの周りをうろついて、すぐに交尾に入ります」(参考記事:「「孔雀グモ」、派手な求愛は命がけの進化の産物」

 コモリグモの交尾戦略を研究している米サスケハナ大学のクモ学者、マット・パーソンズ氏は言う。

「興味深いのは、高齢のメスと交尾するという、最適ではないように見える戦略をとるオスが存在することです」

なぜ高齢のメスを選ぶのか?

 ハラリ氏らのチームは、オスが一見不合理な交尾相手を選ぶ背景にはフェロモンが関係していると推測しており、ウルフ氏もこれを支持している。(参考記事:「やる気のないオスを“口説く”メスグモが見つかる」

「一般には、メスの性フェロモンは常に放出されており、変化しないものだと考えられがちです」とパーソンズ氏は言う。

「しかし今回の研究は、メスのフェロモンの生産量が変化していることを示唆しています。その目的はおそらく、まだ交尾をしていない高齢のメスが、交尾の成功率を上昇させるためだと考えられます」

 ハラリ氏は今後の研究で、亜成体と高齢な個体のフェロモンのレベルを測り、命がけで高齢の相手と交尾しようとするオスの行動の理由を解明したいと話している。

文=Katie Watkins/訳=北村京子

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