未知の「紫のオーロラ」、はじめて報告される

アマチュアの発見に科学者が注目、慣例にしたがい「スティーブ」と命名

2018.03.16
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ユニークなSTEVE

 緑や赤、ときに黄色い薄いカーテンのような形のオーロラとは違い、STEVEは薄紫から紫色をした天空にかかるリボンのように見える。オーロラと同じ緑色をした柵のような光が同時に現れることもある。このSTEVEをかつて「プロトンアーク」と呼んだ人々もいたが、STEVEはプロトンによるオーロラよりも細く、はっきりした形をしている。(参考記事:「奇妙な発光“スプライト”の撮影に成功」

 マクドナルド氏のチームは、STEVE が「サブオーロラ帯イオンドリフト(SAID)」と呼ばれる現象と関連があると考えている。この現象は、緯度60度ほどの場所で起きる。そこでは、地球の電場と磁場の配置の関係で、イオンと電子が東から西の方向に高速で流れ、その過程で粒子が熱せられる。STEVE は季節性のようで、冬には現れない。そして、宇宙の天気──すなわち太陽から飛来する荷電粒子と関係があるようだ。

「これは宇宙とつながった現象を観測する新しい方法で、したがって、新しい研究方法を提供してくれます」。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の宇宙物理学者バシリス・アンゲロプロス氏はそう話す。「アマチュアの科学者でも、三角測量で高度を求められます」。なお、アンゲロポロス氏は今回の研究には関与していない。

【ギャラリー】世界のオーロラ写真9点(写真クリックでギャラリーページへ)
カナダ、アルバータ州のミネワンカ湖上空で撮影されたSTEVE。(PHOTOGRAPH BY PAULO FEDOZZI)

「新種の鳥を見つけるようなもの」

 オーロラへの興味がさらに高まったマクドナルド氏らは、STEVEが生まれる原因を突き止めるため、さらなる調査を計画している。一方、アマチュア科学者たちも観測を続けるつもりだ。もし別の場所でSTEVEが見つかれば、科学者たちがその観測データを使ってオーロラの場所や高さを推定できる。

 アマチュア天文家は、北半球ならカナダのアルバータ州、米国のモンタナ州やミシガン州で、南半球ならニュージーランドなどでSTEVEを探せるだろう。マクドナルド氏は、自らが主導するアマチュア科学者向けのプロジェクト「Aurorasaurus」のためのアプリをすすめる。オーロラが見えるときに知らせてくれるアプリだ。

 アマチュア科学者が大きく貢献した鳥類学との類似点を挙げ、マクドナルド氏はこう付け加えた。「STEVEを見つけるのは、新種の鳥を見つけるようなものです」

【ギャラリー】世界のオーロラ写真9点(写真クリックでギャラリーページへ)
ノルウェーの民家上空を照らすオーロラ。(PHOTOGRAPH BY SERGIO PITAMITZ, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

文=Ramin Skibba/訳=鈴木和博

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