木星の南極にサイクロン集団を発見、五角形に並ぶ

北極では八角形、木星表面下のしくみなど謎がいくつも解明

2018.03.08
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 木星の直径は地球の11倍もあるが、自転周期はわずか10時間ほどだ。この信じられないほど高速の自転が、地球の貿易風を激しくしたような風を東向きと西向きに交互に吹かせ、よく目立つ雲の帯を作り出している。けれども、この風が木星の深部まで続いているのか、表面的な気象現象なのかはこれまでわかっていなかった。(参考記事:「木星の大赤斑を至近距離から撮影、円形に近づく」

 ジュノーは初めて、木星の縞模様の皮をむいて疑問に答えることを可能にした。ジュノーは木星のまわりを回りながら地球に電波を送っている。科学者は、受信した電波の周波数のわずかな変化を測定することで、木星の重力場の地図を作り、その内部構造に関する重要な手掛かりを収集できる。

 木星内部の仕組みに関する3論文のうち1編は、木星の重力場が非対称であることを明らかにした。木星の北半球と南半球の質量は不均衡だという。

「このままだと木星は洋ナシ形になります」とバジナル氏は言う。「それは1000年後かもしれませんし、数十年後かもしれません。タイムスケールはわかりません」

 第2の論文は、この非対称性の原因が激しい風にあるとしている。研究チームは、これだけ大きなものを動かすには、風は深いところで吹いていなければならないと主張する。そしてこの論文と第3の論文によると、木星の表面のパターンと激しい風の帯は、少なくとも木星の表面下3000キロまで達する乱流とつながっているはずだという。(参考記事:「木星の芸術的な最新画像、「まるでゴッホの絵」」

【参考ギャラリー】まるで地球、衛星タイタンの驚くべき写真8点(画像クリックでギャラリーページへ)
土星探査機カッシーニからの合成画像は、衛星タイタンのもやの下に隠された地形を見せてくれる。(PHOTOGRAPH BY NASA)

回転するカブ

 第3の論文によると、そこからさらに深いところでは、木星内部の巨大な圧力により原子がぎゅうぎゅう詰めになって、回転する固体の球になるという。木星内部の圧力は地球の大気圧の約1億倍だ。バジナル氏によれば、これは、1000頭のゾウを重ね、いちばん下のゾウにピンヒールの靴を履かせて片足立ちさせたときの圧力に等しいという。

 木星の圧力がこの大きさになる深さに金属水素の層があり、これが渦を巻くことで木星の磁場を発生させる。さらに深いところ、金属水素の層の内側には、溶融した岩石や鉱物からなるコアがある。

 今回の論文が示唆する木星の姿は想像以上に複雑で、何層にもなったタマネギのような構造に思える。「ルタバガ(西洋カブ)の方が似ているかもしれません」とバジナル氏。木星はルタバガのように、別々ではあるがつながっている層からなり、中心に近づくほど密度が高くなる。

 木星は土星を含む他の巨大ガス惑星の成り立ちを理解するための鍵になるだろうと、バジナル氏は考えている。(参考記事:「【フォトギャラリー】これまでに撮影された木星とその衛星たち 」

文=Nadia Drake/訳=三枝小夜子

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