じっと待ち、じっと見る

木の葉の間からこちらを見つめるノドチャミユビナマケモノ。コスタリカのアビアリオス・スロース・サンクチュアリで撮影。(PHOTOGRAPH BY SUZI ESZTERHAS)
木の葉の間からこちらを見つめるノドチャミユビナマケモノ。コスタリカのアビアリオス・スロース・サンクチュアリで撮影。(PHOTOGRAPH BY SUZI ESZTERHAS)
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 ナマケモノを追跡したり、写真に撮ったりするのは簡単なことのように思うかもしれない。しかし、クリフ氏は新刊書の写真を撮るために約6年かけている。

 あるとき、クリフ氏と野生動物写真家スージー・エスターハス氏は、アップルと呼ぶナマケモノの母親と、パイという生まれたばかりの子どもを撮影することにした。その際は、彼らに自分たちの存在を慣れさせるために、8週間を費やしたという。(参考記事:「ナマケモノやカメはなぜのんびり生きられる?」

「最初は30メートルほど上にいました。そのうちゆっくりと下に降りてくることが多くなり、たまにこちらの様子をうかがうようになりました」とクリフ氏は話す。

 別の機会にも、忍耐力が報われた。パナマ沖の孤島に住み、「近絶滅種(critically endangered)」に指定されているピグミーミユビナマケモノの調査と撮影を行ったときだ。ナマケモノは、イエネコほどの大きさだが、マングローブの林の間を泳ぐことで知られている。クリフ氏とエスターハス氏は、その様子を見るために5日間ボートで待った。

「最後の日、ようやくそれを見ることができたときは『やったわ! じゃあ帰りましょう』という感じでした」とクリフ氏は言う。

 大変だったのは、熱帯の嵐に遭遇したことだ。2日間、2人は貴重な水を節約しつつ、ボートで眠らなければならなかった。

 では、よかったことは?

「漁師にお金を払ってロブスターを捕まえてもらい、焼いて食べることができました」とクリフ氏は話す。「そして、写真が撮れたことです。何より重要なのはそれですから」(参考記事:「おそらく世界最高齢、43歳のナマケモノが死ぬ」

【参考ギャラリー】ゆっくりな生きものたち 写真30点
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