「人類は宇宙人に好意的」、発表が物議、米学会

500人の調査回答を分析、フィクションの世界とは逆?

2018.02.23
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人々の反応は?

 論文の研究では、バーナム氏らのチームはまず、地球外生命の可能性に関するさまざまなニュース記事を言語解析プログラムに読ませ、記事中の単語が表している感情が肯定的(例:「幸せな」「優れた」「良い」など)か、否定的(例:「心配な」「不安な」「悩まされる」など)かを判断させた。

 研究チームが選んだのは、地球外生命に関わる出来事を報じた過去の記事だ。まず1967年、パルサーが発見された。死んだ星の奇妙な姿だが、当初は地球外知的生命体からの信号だと想定された。1977年には、有名な「Wow!シグナル」をSETIの研究者が検出した。1996年、火星起源の隕石ALH 84001から、微生物の化石が「発見」される。近年では、恒星「タビーの星」に起こる不可解な現象について、宇宙人が作った巨大構造物が周囲を回っている可能性が2015年に示唆された(その後、ダストのせいだと判明した)。そして2017年、地球に似た大きさの系外惑星が、主星から近すぎも遠すぎもしないハビタブルゾーン(生物が生きていくことができると考えられる領域)に複数発見された。(参考記事:「地球に似た7つの惑星の間を微生物が移動?」

 研究チームによれば、これらの出来事を報じた記事では肯定的な単語が否定的な単語よりも多く、対象が微生物か、技術をもつ宇宙人かは関係がなかった。AAAS年次会合では、恒星間天体「オウムアムア」が宇宙船ではないかというニュース記事の分析結果も発表され、結果は同様だった。(参考記事:「飛来天体オウムアムアに炭素の膜、宇宙船説を否定」

 次に研究チームは、クラウドソーシングサービス「アマゾン・メカニカル・ターク」のユーザーたちに協力を依頼。地球外の微生物が見つかったら自分自身はどう反応するかの予想と、ほかのみんなの反応も似たようなものかどうかについての意見を書いてもらった。500人を超す回答者が自身の反応を予想し、その文章が前述のニュース記事と同じように解析された。

 ある回答者はこう書いている。「強く関心を持つと思う。手に入る限りの情報をネット上で探して、生命体の写真を見るまで情報を追い続けるだろう。その後、たぶん興味はなくなると思う」

 記事の分析結果と同様、回答者たちは、自分自身についてもほかの人々についても、肯定的な感情を示す単語を多く使っていた。

 SETIのショスタック氏にとっては、これも特に驚きではない。氏は1996年のニュースについては、数日間大騒ぎになり、火星人が見つかったかのようだったと指摘する。「もっとも、地球からわずか5600万キロのところにエイリアンがいたというのに、誰も外に出て騒いだりしていませんでした」

「顕微鏡サイズの地球外生命体は、多くの人にとって怖くもなければ有意義でもなかったのでしょう。『アンドロメダ病原体』(マイケル・クライトンのSF小説)は別ですが」

 こうした微生物がとっくに死んだものであれば、特にそうなのだろう。

【関連ギャラリー】探査機が撮った火星の絶景写真36点(画像クリックでギャラリーページへ)
1997年7月4日以降、NASAの探査機が撮影した火星の写真36点

 バーナム氏らの研究チームは、この結果について、技術を持つ宇宙人への反応も同様に肯定的である可能性を示すと話している。宇宙生物学研究にとって重要な時期にこの成果が出たと話すのは、心理学者のダグラス・バコッチュ氏だ。同氏は、地球外知的生命体にメッセージを送るプロジェクト「METI」を率い、星間メッセージの作成に取り組んでいる。

「他の恒星の周りにいる系外惑星の存在が毎月のように伝えられ、その多くは生命が存在できそうな条件です。別の恒星の周囲を回る惑星の発見が次々と発表されることで、生命は宇宙全体に存在するかもしれないという考えが一層説得力を増しているのです」とバコッチュ氏は言う。「火星で生命が見つかったと知っても、多くの人にはそれほど驚きではないでしょう」(参考記事:「40光年先に地球似の惑星を発見、生命探しに最適」

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