大きな鼻ほど強くてモテる、テングザルで判明

鼻が大きいのは「男前」? 低い声でも魅了か、中部大ほか

2018.02.22
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

無駄な争いを避けるための「勲章」

 動物の世界では一般的に、オスの競争が激しくなると、無駄な争いを避けるために「勲章」となるような特徴を進化させることがある。たとえば、マンドリルのオスでは、顔や性器の色が明るいほどオスの地位が高く、そのおかげで無駄な争いを避けられることがわかっている。テングザルの鼻もこのケースと考えられる。(参考記事:「サルの睾丸、なぜ青い?」

 実際のところ、テングザルは競争が激しくなりがちなハーレム型の群れをつくるうえ、ハーレム同士がなわばりをもたずに近接して暮らすせいで、メスをめぐるオスの競争は実に激しい。

 今回の研究は、鼻の大きさといういわば「男らしさ」が、メスがオスを選ぶ指標につながっていることを霊長類ではじめて示した重要な研究となった。研究チームは今後、テングザルの認知や遺伝子など、鼻を含めメスがオスを選ぶときのより直接的な証拠について研究する予定だ。

テングザルに迫る危機

 絶滅危惧種であるテングザルの保護も大切だ。松田氏によれば、氏の調査地であるマレーシア、キナバタンガン川の周辺では、個体数は安定しているものの、群れのサイズが小さくなっている。「群れサイズの減少から、個体数減少へとつながる可能性も十分にあります」(参考記事:「ボルネオ島のオランウータン、16年間で15万頭失われる」

 過去の霊長類の例から、森林が細かく分断されると群れが小さくなることがわかっている。テングザルの調査地でも、アブラヤシのプランテーションにより森林が断片化されている。

 テングザルが暮らす川沿いの森では、利益を上げるほど収穫が得られない場所にまでアブラヤシが植えられているという。

「そういった場所に木を植林することで森林の断片化を和らげることができると考えています」と松田氏は言う。だが、植林には多大な資金が必要だ。「現地のNGOやマレーシア政府とも連携した活動が必要だと痛感しました」

文=ナショナル ジオグラフィック編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加