大きな鼻ほど強くてモテる、テングザルで判明

鼻が大きいのは「男前」? 低い声でも魅了か、中部大ほか

2018.02.22
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予想を上回った「きれいな結果」

「テングザルの鼻がなぜ長いのかは、もちろん研究開始当初から興味がありました」と、野生テングザル研究の草分けで、ナショナル ジオグラフィックも研究を支援する松田氏は言う。(参考記事:「「研究室」に行ってみた。 テングザル 松田一希」

 研究チームは、2011年から15年にかけて、18頭のオスの身体を詳しく測定した。その一方で、10年以上にわたり別の場所で実施した生態調査のデータから、ハーレムをもつオスの鼻のサイズと、所属するメスの数を割り出した。

 すると、これらのデータから、鼻の大きなオスほど体重が重く、睾丸の容量が大きく、そして、ハーレムのメスの数が多いことが明らかになった。

「複雑に進化をとげてきたであろう形態や社会性という生物学的な要素に、きれいな正の相関関係がみられました。これはもう、本当に驚きました。こんなにきれいな結果が出るとはまったく予想していませんでしたから」 と松田氏は当時を振り返る。

ギャラリー:大きな鼻ほど強くてモテる、奇妙なテングザル 写真11点(写真クリックでギャラリーページへ)
テングザルの親子。(写真提供:松田一希)

 あわせて、テングザルの音声に関する研究も行った。

「観察していた当初から、オスの鼻にかかったような鳴き声、そしてメスに比べて多様な鳴き方から、直感として鼻が鳴き声と関係しているだろうという考えはありました」と松田氏。「しかし、最近までそれを解明する明確なアイデアを考える余裕がありませんでした」

 研究が進む契機となったのは、京都大学霊長類研究所の助教で、霊長類の鳴き声の専門家である香田啓貴氏と知り合ったことだった。両氏は共にアイデアを練り、よこはま動物園ズーラシアをはじめ、世界の動物園などで飼育されている7頭のオスの鳴き声を録音して解析した。

 鳴き声のなかから、体重と鼻の影響を受けている部分を特定し、オスの体の特徴との関係をひもといた。結果、鼻が大きいほど声が低いことが判明した。つまり、声の低いオスはそれだけ強くて繁殖力が高いというわけだ。鼻の大きさに加えて、声の低さまでオスの有利さと関係するのは、テングザルが暮らす密林は見通しが悪く、声も重要な要素だからなのかもしれない。(参考記事:「【動画】テングザルは異例の泳ぎ上手だった」

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