人間と羊のハイブリッド胎児の作製に成功

移植向けの臓器作製へ一歩前進

2018.02.21
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【動画】DNA編集ツールが「進化」を作りだす(解説は英語です)

倫理の問題

 研究資金が増えれば、研究のスピードは加速するだろうとロス氏は言う。米国立衛生研究所は現在、人間と動物のハイブリッドを作る研究に公的資金を投入することを禁じているが、2016年にはこの方針を取り消す可能性も示唆している(これまでの研究費用は、民間からの寄付によって賄われてきた)。

 また研究が進めば、倫理面に関する監視が厳しくなるのは確実だ。ロス氏は、自分たちの研究が議論を呼びやすい性質のものであることを認めつつも、研究を進めるにあたっては十分な注意を払っていると述べている。(参考記事:「解説:サルのクローン誕生、その意義と疑問点」

「今のところ、ヒト細胞の寄与は非常に小さいものです。決して人間の顔や脳を持ったブタができるわけではありません」。ロス氏と共同で研究を行っているスタンフォード大学の中内啓光氏は、総会においてそう語っている。また中内氏によると、研究者らは動物の脳や生殖器でヒト細胞が増えることがないよう、細胞を特定の場所で増殖させるよう努めているという。

 ロス氏は、臓器研究へのアプローチ方法が増えることは希望につながると考えている。(参考記事:「天才を作り出す?「賢い遺伝子」の研究は是か非か」

「こうしたアプローチは例外なく議論を呼ぶものであり、そのどれもが完璧ではありませんが、日々誰かが亡くなっていく現状に希望を与えてくれます」と彼は言う。「私たちは病気で苦しむ人たちに臓器を提供するために、あらゆる選択肢を検討する必要があります」

文=MICHAEL GRESHKO/訳=北村京子

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