8000年前の謎の杭刺し頭骨を発見、定説覆す

「まさかこれほどのものが出てくるとは」と研究者は困惑、スウェーデン

2018.02.16
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「頭を殴って殺され、陳列された人々ではありません。半分以上の頭骨に、回復した傷痕がありましたから」と、ハルグレン氏。

 どんな武器で怪我を負わせたのかは、まだわかっていない。また、頭の傷が直接死につながったことを示す証拠もない。現在DNA分析が行われているが、2人の男性には血のつながりがあることがわかっている。(参考記事:「1万年前の「チェダーマン」復元! 肌は黒、目は青」

「兄弟ではないと思いますが、いとこか、それよりも遠い親戚だと思います」

 杭の破片は400個見つかり、そのうちの一部は何かに突き刺さっていたようだが、その何かはとうの昔に外れてなくなっている。なぜ突き刺したのかは謎だ。

【参考動画】8400年前の赤ちゃんの骨格を発掘する作業。骨格はドイツで発見され、保存状態がよい。(説明は英語です)(「8400年前の赤ちゃんを発見、ベルリン近郊」より

誰が何のために?

 頭骨に杭が刺さっていた理由について、チームはいくつかの仮説を提示している。杭で固定して陳列され、最初は別の場所に埋葬されていたようだ。ここは規模が小さく、また、中石器時代の埋葬地でこのような頭骨が出てきた例は過去にないため、ほかと比較することができない。

「ほかに似たような遺跡は発見されておらず、この地域の考古学的背景のなかでここをどう位置づけるべきか、現在研究しているところです」

 これまでの経験では、中石器時代の狩猟採集民は死者の体に敬意を払い、丁寧に扱っていたという証拠しか見つかっておらず、敵の首を切るという風習が現れるのはずっと後の時代のことだ。(参考記事:「墓地に花を飾った最古の例」

「今回の発見に関しては、首が切られたことを示す直接的な証拠はありません。腐敗する途中で頭部が体から外れた可能性が高いです」。論文共著者で、スウェーデン、ストックホルム大学のサラ・グメション氏は、ナショナル ジオグラフィックへのメールにそう書いている。

 頭部の外傷は、暴行か誘拐か、またはその他の原因によるものか。可能性としては低いが、事故による傷とも考えられる。

 男性と女性で傷の場所が異なることから、性に関係する暴力行為、例えば配偶者への虐待、襲撃や紛争中に起こったこと、または文化的風習などがあったのかもしれない。死んだ仲間へ敬意を払い、頭部を陳列して葬儀を行っていた可能性もある。勝利の記念に敵の首を狩る風習もあるが、ハルグレン氏はこの場合は恐らくそうではないだろうという。

 この埋葬場を巡る謎については、まだ調査中だ。また、近くにある別の湿地も発掘して、何か共通点がないかを調べている。

「今回の発見に関しては、議論すべき点が数多くあります。今後も調査を続け、新たな発見があれば、柔軟に対応していきたいと思います」と、グメション氏は結んだ。

文=Elaina Zachos/訳=ルーバー荒井ハンナ

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