目から寄生虫が次々と、14匹を摘出、初の感染例

ハエを介して感染するテラジア眼虫の3種目を確認、米国

2018.02.14
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ベックリーさんを治療したボヌラ氏によると、そもそも眼虫はハエがいなければ生存できない。眼虫の幼虫が成長できるのは、ハエの消化管や消化器の中だけで、やがてそこからハエの口へ向かう。そして、ハエが動物の目にとまって涙を飲み始めると、成長の最終段階にある幼虫はハエの口吻から這い出して目に入り込む。そして成虫に変化し、幼虫を産む。幼虫は別のハエに回収してもらわなければ、そこで死んでしまう。

 ベックリーさんの目の中では、「このライフサイクルを継続することはできませんから、やがてみんな死ぬことになります」とボヌラ氏は言う。しかし、眼虫がどうやってベックリーさんの目に入り込んだのかは謎のままだ。ボヌラ氏は、ベックリーさんがウシのいる牧場を通ったときに、たまたま入ってしまったのではないかと考えている。

感染したらどのぐらい危険なのか

 少しばかり安心できることかもしれないが、眼虫は自力で眼球の中に入り込むことはない。まぶたの裏や眼球の周囲のやわらかい組織に住み着くだけだ。しかし、一度目に入り込んでしまうと、行える処置は多くない。抗寄生虫薬を使って退治することもできるが、炎症がひどくなる場合もある。

 ベックリーさんの場合は、1匹ずつそっと取り出すのが最適な治療法だった。結局、20日をかけて14匹の眼虫を取り除いた。とはいえ、この件に関わった医者は、こういった眼虫が大規模な健康被害をもたらすことはないと述べている。(参考記事:「なぜ受けられない?ワクチン開発に「格差の問題」」

「眼虫が広まると言ってパニックになる必要はありません」とボヌラ氏は言う。人の目にハエがとまるのは非常に珍しく、幼虫が移動できるほどの間そこにとまっているのはさらに珍しい。ボヌラ氏によれば、もっとも効果的な予防法は、ハエを追い払うことだ。もし、ハエが目に入り込んだ場合は、すぐに取り除けばいい。

「普通の生活をしているかぎりは、問題はないはずです」とボヌラ氏は言う。(参考記事:「不思議でふしぎな寄生生物“勝手にベスト5”」

 ベックリーさんにも眼虫による後遺症は見られず、視力も良好だという。それから1年半たった今では、虫が見つかったのがどちらの目だったかも覚えていないぐらいだった。

 念のために言っておくと、もちろん、ベックリーさんの目にもう眼虫はいない。彼女は言った。「あんなものと一緒にいたくはないですから」

文=Erika Engelhaupt/訳=鈴木和博

  • このエントリーをはてなブックマークに追加