目から寄生虫が次々と、14匹を摘出、初の感染例

ハエを介して感染するテラジア眼虫の3種目を確認、米国

2018.02.14
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 しかし、ベックリーさんは、目の中に虫がいると言い続けた。「出てこい、出てこい、とずっと考えていました」。それから30分ほど、病院のスタッフに目を調べられながら、虫が出てくるのを待つことになった。(参考記事:「目から寄生虫をぶら下げるサメ」

「医者とインターンが私の目の中を這い回る虫を見つけたときのことは、忘れられません。医者は、何てことだ、見えた、見えたぞ! というように、びっくりして飛び上がりました」

 オレゴン健康科学大学の感染症の専門家で、この件の治療にあたったエリン・ボヌラ氏は、ベックリーさんについて「驚くべき優雅さと大胆さで対応していました。とても強い方です」と話す。

患者のまぶたの裏側に潜んでいた眼虫テラジア・グローサ(Thelazia gulosa)。(PHOTOGRAPH BY DR. JOHN HOYT)
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感染ルートは?

 眼科医たちはベックリーさんの目から1匹を取り出すことに成功した。半分に切れてしまったものの、それを米国疾病予防管理センター(CDC)に送った。

 その虫は、その後さらに取り出された何匹かの虫とともに、CDCの寄生虫同定診断研究所を率いるリチャード・ブラッドベリ氏のもとに届けられた。この研究所は、珍しい寄生虫の正体を突き止める際に米国で最も重要な場所で、昨年だけでも6700種類ほどの正体不明の標本を分析している。

「正体がわからないものは、最終的にここにやってきます」とブラッドベリ氏は言う。(参考記事:「感染症研究が切り開いた睡眠科学」

「こういった寄生虫はすべて珍しいですが、ベックリーさんのこれはとくに珍しいものです」。最終的にこれがテラジア・グローサであることを突き止めるために、1928年のドイツの研究論文を掘り出さねばならなかったほどだ。人間の目から見つかったテラジア眼虫はこれで3種目となった。他の2種は、それぞれアジアと米国西部で見つかっている。

 この寄生虫を媒介するのは、メマトイと呼ばれるショウジョウバエの仲間で、ウシやウマ、イヌの涙をエサとする。小バエが動物の目のまわりを飛びまわるのを見たことがある人もいるだろう。眼虫やハエに嫌悪感をもつ人はいるだろうが、寄生虫の生き残り戦略として、この眼虫の生態は魅力的な一例だ。

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