氷河期の絶滅サイを復元、毛むくじゃら、シベリア

生後7カ月の赤ちゃんケブカサイ、永久凍土で発見された遺骸から

2018.01.26
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なぜ北米へ渡らなかったのか

 サーシャが発見されたのは2015年、シベリアの川岸にある永久凍土層でのことだった。永久凍土とは、2年以上連続して凍っている土地をさす。シベリアには、何千年間も凍っている永久凍土が多い。(参考記事:「永久凍土って何ですか?」

 サーシャが発見された一帯は、ケブカサイの生息地であることがわかっている唯一の場所だ。ポタポワ氏によると、ケブカサイにまつわる大きな謎のひとつは、海面が下がっていた氷河時代には地続きだったロシア北東部と米アラスカを結ぶベーリング地峡をなぜ渡らなかったのかということだ。(参考記事:「北アメリカ先住民、起源はシベリアか」

 ケナガマンモス、ステップ・バイソン、トナカイなどは、氷河時代にこの地峡を渡ったものと考えられている。その時代の気候を生きぬくために、ケブカサイがどんな適応を遂げていたのかもよくわかっていない。

生後7カ月サーシャの体長は1.5メートル。現在のサイよりもかなり大きい。(PHOTOGRAPH BY SAKHA ACADEMY OF SCIENCES , THE SIBERIAN TIMES)
生後7カ月サーシャの体長は1.5メートル。現在のサイよりもかなり大きい。(PHOTOGRAPH BY SAKHA ACADEMY OF SCIENCES , THE SIBERIAN TIMES)
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近親繁殖で衰退?

 ケブカサイが絶滅した理由については、いくつかの仮説があがっているが、まだ十分に説明できない点もある。

 2017年8月に発表されたある研究では、遺伝子の異常が原因でケブカサイが絶滅した可能性が示された。化石を調べたところ、首の骨に肋骨がある頚肋(けいろく)という異常をもつものが多く見つかっており、近親繁殖が原因で種が衰退していった可能性が指摘されている。

 ケブカサイが絶滅した理由について、ポタポワ氏は2つの説をあげる。

 1つ目は、草食動物の食性に影響を与えた気候変動とする説。これは、ホラアナライオンやサーベルタイガーなどの大型肉食動物の絶滅につながった。そして2つ目は、人間の手によって絶滅したという説だ。(参考記事:「巨獣はなぜ消えた?」

「多くの絶滅した草食動物のDNAを調べた最近の研究から、この2つの大陸に人間が現れるかなり前の時点で、そういった動物の数が減少し、遺伝子が劣化していたことがわかっています」とポタポワ氏は話す。つまり、前者の説の可能性が高そうということだ。

 サーシャを調べただけでは、種が絶滅した理由まではわからない。しかし、ケブカサイという大きなパズルを解くための貴重な1ピースになるのは間違いない、とポタポワ氏は話している。

文=Sarah Gibbens/訳=鈴木和博

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