5億年前の驚異の化石、ゴカイ類の新種、神経は初

「衝撃的に良好な状態」と研究者、早い段階から頭部が進化か

2018.01.26
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多毛類(ゴカイ類)の新種、Kootenayscolex barbarensisの復元図。(ILLUSTRATION COURTESY ROYAL ONTARIO MUSEUM)
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 5億年以上も前のこと。いまのカナダ、ブリティッシュ・コロンビア州クートニー国立公園にあたる場所で激しい泥流が発生した。このとき、水中にいたゴカイのような小さな生きものが死に、泥に閉じ込められた。

 これは近年発見された化石について、カナダ、トロント大学の博士課程学生であるカルマ・ナングル氏が考えた仮説の1つだ。(参考記事:「ギャラリー:奇跡の恐竜化石、世紀の大発見」

 この生きものはゴカイなどが含まれる多毛類(ゴカイ類)の新種で、Kootenayscolex barbarensis と名付けられ、1月22日付けの学術誌「カレントバイオロジー」に発表された。(参考記事:「閲覧注意!?「国際ゴカイの日」が制定される

 論文の主要筆者であるナングル氏は、この化石を「衝撃的に良好な状態」と評価する。体長が約2センチしかない小さな体の両側には、髪の毛ほどの細さの微小な剛毛が多数生えている。さらに驚くべきことに、ゴカイやミミズ、ヒルなどを含む環形動物の化石では初めて、神経や管状の組織らしき跡が見つかった。

 頭部には「副感触手」という長い筒のような構造があり、前方の地面の様子を感じ取るのに使ったのではないかとナングル氏は言う。カンブリア紀に生きていたこの生物は、海底を這いながら有機物を食べ、そしてほかの種に捕食されることで、食物網のサイクルに関わっていた。彼らの子孫であるいまのヒルやミミズもよく似た機能を担っている。

Kootenayscolex barbarensisは、環形動物門というグループに含まれる。「副感触手」という2本1対の長い感覚器が頭部から伸び、その間に小さな「感触手」がある(左)。「いぼ足」と呼ばれる肉厚の器官が体に並び、そこから剛毛が生えている。(PHOTOGRAPH BY DR. JEAN-BERNARD CARON/ROYAL ONTARIO MUSEUM)
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500種を超える化石のなかでも「決定的」

 数億年前、この化石が見つかった地域には、同様の小さな多毛類が無数にいただろうと研究者たちは考えている。

 この化石を発掘するにあたり、研究チームは国立公園のなかにある「マーブル・キャニオン」という狭い発掘サイトに的を絞った。かの有名な化石堆積層であるバージェス頁岩の一部だ。このサイトが2012年に初めて見つかって以降、初期の多毛類の化石が500種以上も見つかっているが、なかでも軟らかい組織の跡が残るこの化石は「決定的」とナングル氏は評価する。(参考記事:「化石と絶景 カナダのヨーホー国立公園」

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