アステカ人の大量死、原因はサルモネラ菌か

16世紀に大流行した疫病「ココリツリ」、遺骨から病原菌を特定

2018.01.19
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大広場の建築調査を行ったところ、予想もしていなかった大規模な墓地が見つかった。埋葬されていたのは、1545~1550年に流行した疫病「ココリツリ」で命を落とした人々だった。墓地には集団埋葬された墓が数多く見つかり、被害の大きさを物語っている。(PHOTOGRAPH COURTESY OF CHRISTINA WARINNER, TEPOSCOLULA-YUCUNDAA ARCHAEOLOGICAL PROJECT
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ヨーロッパ人が持ち込んだものか

 歴史的記録によれば、ヨーロッパ人は、天然痘やはしかなど、様々な伝染病をアメリカ大陸へ持ち込んだ。その結果、こうした病気に全く免疫を持っていなかった先住民に大打撃を与えた。

 ウォージン氏とハービッグ氏も、スペイン人がメキシコにやってきたとき、同じことが起こったと考えている。

 2017年2月に公開された研究で、これと同じサルモネラ菌株が1200年に死んだノルウェー人女性のDNAから発見されたことがわかっている。つまり、16世紀にアステカ人の命を奪ったかもしれない菌株が、その300年前に太平洋の反対側に存在していたということだ。

 ウォージン氏は、病原菌がそれ以前からメキシコに存在していた可能性も考えられるというが、そのような証拠はまだ見つかっていない。(参考記事:「「人食いバクテリア」とは何か? 対処法は?」

疫病のルーツ

 メキシコの歴史に残るアウトブレイクが本当にサルモネラ菌によるものであるかを確かめるには、他の埋葬地から採取したDNAもさらに調べる必要があるという。

「私の直感ですが、あの疫病には複数の要因が関わっていたと思います」と、米ウィスコンシン大学マディソン校で感染を研究するケイトリン・ペペレル氏はいう。同氏は、今回の研究には関わっていない。

 ペペレル氏によると、植民地化の結果「食糧供給路が混乱し、飢饉が起こり、人口密度が変化し、人が移動し」、そこから生まれた様々な要因が働いていたのではないかという。(参考記事:「希少な古代アステカの地図、16世紀メキシコを描く」

 米アリゾナ州立大学進化・社会変化学部のアン・ストーン氏も「はっきりとは言えませんが、先住民には新しい病気で、あそこまで被害が大きくなったことから、恐らくヨーロッパが起源なのだと思います」とコメントした。この説を立証するには、より多くの埋葬地からDNAを採取することだと、ストーン氏はいう。(参考記事:「アステカの犬だけの墓を発見、メキシコ」

 ウォージン氏も、ココリツリ犠牲者の埋葬地が他にも特定されなければ、今回の結果は仮説にとどまるだろうと認めている。その時まで、ハービッグ氏はDNA解析を使って、人類の歴史に影響を与えた重大な病について研究を続けたいとしている。

文=Sarah Gibbens/訳=ルーバー荒井ハンナ

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