コウモリを大量死させる恐怖のカビ、弱点が判明

カギは紫外線、でも洞窟のコウモリ集団に適用できる?

2018.01.05
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実際の治療の難しさ

 米カリフォルニア大学生物学教授のマーム・キルパトリック氏は、学会でこの結果を最初に聞いたときにはワクワクしたという。彼は、実験室のペトリ皿の中のカビではなく、洞窟のコウモリの体で繁殖しているカビで同じ実験を行った場合にどうなるか、強い興味を持っている。

 けれども彼は、この治療法は冬眠中の数万匹のコウモリには効かないのではないかと言う。カビが目立つのはコウモリの鼻だが、畳んだ翼の隙間でも繁殖している。紫外線の照射による治療は、コウモリの体を傷つけないという長所はあるが、コウモリの大量死を防ぐにはあまり役に立たないかもしれない。

「小規模な治療には非常に良いと思います」とキルパトリック氏は言う。「コウモリを1匹ずつ捕まえて、紫外線を照射するのです」

 ただ、コロニーに入って紫外線を照射する処置は、コウモリの冬眠を妨害するおそれがある。そもそも、コウモリが白い鼻症候群によって死亡するのは、不十分な休息による消耗が原因なのだ。

 キルパトリック氏らは、さまざまな量のP. destructansが冬眠中のコウモリに及ぼす影響を調べている。少しの紫外線治療により、致死的な影響を及ぼす前にカビを死滅させることができれば、一部のコウモリが冬を越すには十分であるかもしれない。(参考記事:「世界で増える野鳥の奇形、原因は新種ウイルスか」

冬眠を生き抜くことができるか

 論文の共著者ダン・リンドナー氏は、米魚類野生生物局のコウモリ未来基金から助成金を受けて、紫外線でカビと闘う研究を続けている。研究では、P. destructansに自然に感染したコウモリを紫外線で治療し、冬眠を生き抜くのに役立つかどうかを検証する。(参考記事:「【動画】洞窟にぶら下がるヘビがコウモリを襲撃」

 リンドナー氏は、「研究室で発見された治療法を実際のコウモリに試せることをうれしく思います」と話している。(参考記事:「コウモリやナマケモノはなぜ逆さまでも平気なのか」

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文=Elaina Zachos/訳=三枝小夜子

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