惑星「タトゥイーン」や「森の月エンドア」は、はるかかなたの銀河系の話だと思うかもしれない。だが実は、ずっと近い場所にある。映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場する異世界は、この地球上にある美しい自然に着想を得て生まれたものだ。ミレニアム・ファルコンがなくても、映画のロケ地となった場所には、飛行機、列車、船、または車で、誰でも訪れることができる。(参考記事:「新種テナガザルを発見、スター・ウォーズから命名」)
イタリア、コモ湖
スター・ウォーズのロケは、人里離れた場所ばかりで行われたのではない。惑星ナブーの舞台となったイタリアのコモ湖は、有名な別荘地である。美しい建物と息をのむような景観に、訪れる人は誰でも、銀河系を股に掛ける王族のような気分を味わえるだろう。あるいは、女王パドメ・アミダラになったつもりで、バルビアネッロ邸の美しい庭園を散策してみてはいかが。邸宅へは、徒歩か水上タクシーでアクセス可能だ。
チュニジア、ジェルバ島
惑星タトゥイーンの大部分は、チュニジアのジェルバ島で撮影された。ここには、モス・アイズリーの酒場など、映画の中で重要な拠点となった場所がいくつかある。自動車で島を回れば、映画のさまざまな場面で使われた古代の村々を眺められる。時間があれば、チュニジア本島へ戻って、他のロケ地も訪れてみよう。マトマタにあるシディ・ドリス・ホテルはルーク・スカイウォーカーの家として使用され、今も宿泊客を受け付けている。(参考記事:「チュニジア イスラムとユダヤの共存」)
米国、デルノルト・コースト・レッドウッズ州立公園
米カリフォルニア州にあるデルノルト・コースト・レッドウッド州立公園を訪れれば、木々の間にエンドアの住人イウォークの姿が見つけられるかもしれない。園内のダムネーション・クリーク・トレイルを歩いてたどると、巨大な樹木が生い茂る森を通り抜け、潮だまりのある磯に出る。森に入れば、スター・ウォーズファンなら誰でも、心は惑星エンドアへ飛ばされる。そして気が付けば、スピーダー・バイクの爆音が聞こえてこないかと耳を澄ませていることだろう。公園はオレゴン州とカリフォルニア州の境に近く、サンフランシスコから車で片道7時間ほどだ。
アイルランド、シュケリッグ・ヴィヒル
ルーク・スカイウォーカーが、この美しいアイルランドの島々を隠棲の地に選んだのも無理はない。アイルランド、ケリー郡の沖合約13キロの海上に浮かぶシュケリッグ・ヴィヒル(スケリッグ・マイケルとも)は、ユネスコの世界遺産に指定されている。世界で2番目に大きなシロカツオドリの繁殖地があり、ほかにもパフィン(ニシツノメドリ)をはじめ多様な海鳥が生息する。また、6世紀に建てられた修道院の跡が今も残されている。島へのアクセスは小型船のみ。到着すると、修道院へと続く600段の階段が訪問者を待ち受ける。島に宿泊施設はないが、ケリー郡にはホテルがいくつかある。(参考記事:「特集ギャラリー:癒やしの鳥 パフィン(2014年6月号)」、特集「空飛ぶダイバー シロカツオドリ」)
ノルウェー、ハルダンゲル氷河
ハルダンゲル氷河で肉食獣ワンパに出会うことはないが、氷の惑星ホスの戦いに加わった気分を味わうことはできる。氷河の近くには山間の孤立集落フィンセがある。列車でしかアクセスできないが、村はスター・ウォーズファンを温かく迎えてくれる。地元のホテル「フィンセ1222」は、「ホスへ行こう」というイベントを毎年主催している。氷河へ行くには、ガイド付きツアーに参加する必要がある。ツアーの開催期間は、7月から9月の間のみだ。(参考記事:「「スター・トレック」のワープは実現可能か?」)