宇宙で系外惑星を探すNASAのケプラー宇宙望遠鏡の想像図。(Illustration by Wendy Stenzel/Ames Research Center/NASA)
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 系外惑星を探した膨大なデータの中から惑星を見つける訓練を受けたAI(人工知能)が、これまで見落とされていた惑星を2つ発見した。(参考記事:「太陽系外の巨大ミラー惑星、新手法で60個の候補」

 新たに発見された惑星「ケプラー90i」は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡が収集した大量のデータの中に隠れていた。この惑星は、地球から約2500光年の彼方にあるケプラー90という主星の周りを、ほかの7つの惑星とともに回っている。これまでに知られている恒星の中で最も多くの惑星を持つのは私たちの太陽で8個だったが、ケプラー90はこの記録に並んだことになる。(参考記事:「太陽系外の恒星を回る4惑星、貴重な動画が公開」

「ケプラー宇宙望遠鏡の過去の観測から、ほとんどの恒星が惑星を持っていることは分かっていました」とNASAのポール・ハーツ氏は記者会見で述べた。「今回の発見により、ほかの恒星が、私たちの太陽のように大家族を持てることが明らかになったのです」

 その数日前に、NASAが重大な発見について記者会見を行うと予告すると、世間では、地球外生命が発見されたのだろうかといった憶測が広がっていた。この予想が外れたのは特に意外ではないが、AIが銀河系の向こう側の未知の天体の探索にも役立つことが証明されたのは重要だ。(参考記事:「ケプラー、新たに219個の惑星を発見」

惑星を8つもつ恒星の発見は、太陽系以外では初。(Illustration by Wendy Stenzel/Ames Research Center/NASA)
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数千兆個の惑星が埋もれている可能性

 2009年に打ち上げられたケプラー宇宙望遠鏡は、空の特定の領域にある15万個の恒星を4年にわたり見つめてきた。その使命は、恒星の周りを回る惑星の発見だった。惑星が主星の前を横切るとき、主星が短時間だけ暗くなる。そうした観測データが見つかれば、惑星の大きさや公転軌道の大きさも知ることができる。

 ケプラー宇宙望遠鏡のデータから、12月14日の時点で2656個の惑星が発見されているが、もっと多くの惑星がデータの中に埋もれていると考えられている。しかし、恒星の減光から惑星を確認するのは簡単ではない。このデータには数千兆個の惑星が埋もれている可能性がある上、惑星だけでなく、恒星の黒点、連星、その他の天体も似たような減光を引き起こす。ケプラー宇宙望遠鏡の微妙かつ膨大なデータをすべて人力でチェックするのは不可能だ。

 そこで、グーグルAIのクリス・シャルー氏は、機械学習のなかでも、脳の仕組みに似せた数式モデルの「ニューラルネットワーク」を使ってこの問題に取り組むことにした。機械学習のアプローチを用いてケプラー宇宙望遠鏡のデータをフィルターにかけ、分類する試みはこれまでにもあったが、シャルー氏のニューラルネットワークのアルゴリズムははるかに強力だった。

「ケプラー・ミッションが膨大なデータを収集していて、科学者が人力ではすべてを調べられないことを知り、ニューラルネットワークを天文学に応用することに興味を持ったのです」と彼は言う。「この技術を空に向け、はるか彼方の恒星の周りの惑星を識別する方法をAIのシステムに教えるのです」

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