惑星8個もつ恒星、AIが発見、太陽以外で初

強力なグーグルのAI、系外惑星探査の新時代が到来、NASA

2017.12.18
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96%の確率で識別可能

 ニューラルネットワークは、先に述べたように、人間の脳の神経回路網をモデルに作られている。このシステムを訓練して、犬と猫の写真の違いなど、物を識別し、分類させることができる。十分な数のサンプルを学習したコンピューターは、猫と犬を自分で分類できるようになる。

 シャルー氏はニューラルネットワークを訓練し、惑星によるシグナルを識別できるようにした。彼は、ケプラー宇宙望遠鏡による1万5000回分の惑星の観測データを使って、実在する惑星が作り出すシグナルと、それに似た別のシグナルを区別するための訓練を始めた。結果、コンピューターが96%の確率で正しく惑星を識別できることがテストで分かった。

 次に、実際にアルゴリズムを働かせてみた。シャルー氏と米テキサス大学オースティン校のアンドリュー・バンデンバーグ氏は、ケプラー宇宙望遠鏡の視野にあり、惑星を持つことが分かっている約670個の恒星のデータをコンピューターに調べさせた。恒星が惑星を持っている場合、1つではなく複数持っていることが多いからだ。

 探すのは、人間が見つけられないごく微弱なシグナルの変化だ。コンピューターは、この中からケプラー80gとケプラー90iという2つの新しい惑星を発見した。彼らの発見についての論文は科学誌「The Astronomical Journal」で発表される予定である。(参考記事:「アリを「ゾンビ化」する寄生菌、人工知能により脳外からの行動支配が判明」

「2つの惑星のシグナルは弱く、これまでの探索では毎回見落とされていました」とシャルー氏は言う。

新たな時代の始まり

 ケプラー80gは、ケプラー80という主星の周りの惑星系の6番目の惑星だ。だいたい地球ほどの大きさで、14.6日周期で主星の周りを回っている。主星は太陽より小さく、赤い星だ。

 一方、ケプラー90iは内側から3番目の軌道を回る、地球よりわずかに大きい岩石惑星で、1年の長さは地球時間にしてこれも2週間ほど。主星のケプラー90は太陽よりもやや大きく、温度も高い。より内側の軌道を回る2つの惑星はケプラー90iと同じくらい小さく、外側の軌道を回る惑星ほど大きくなってゆく。

 この惑星系は、惑星の数は多いが密集していて、地球から太陽までの距離の間にすべての惑星がぎゅうぎゅうに詰まっている。

ケプラー90と太陽の惑星の軌道を比較した図。ケプラー90の8つの惑星はすべて太陽と地球の距離より主星に近いところを回っている。今回発見されたケプラー90iの軌道は赤い線で示された、内側から3番目の軌道を回っている。(Illustration by Wendy Stenzel/Ames Research Center/NASA)
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「ケプラー90iには行ってみたくありませんね」とバンデンバーグ氏は言う。「おそらく表面は恐ろしく高温です。私たちの計算では、平均温度は430℃を超えました」(参考記事:「地球に「最も似ている」太陽系外惑星を発見」

 バンデンバーグ氏によると、ケプラー90はもっと多くの惑星を持っている可能性があるという。彼とシャルー氏は、自分たちのニューラルネットワークを使ってケプラー宇宙望遠鏡のすべてのデータを解析し、何が見えてくるか調べようと計画している。しかし、コンピューターが人間の天文学者に取って代わるのではないかと心配する必要はない。

 NASAのジェシー・ドットソン氏は、「コンピューターは天文学者と一緒に働くのです」と言う。「人間の仕事を奪うことはありません。機械学習システムを訓練するためには、人間が最初に分類を行わなければなりません。それがあって初めて、人間には不可能な作業量を扱えるようになるのです」(参考記事:「クイズ王に勝った人工知能、今度は料理の独創レシピ」

文=Nadia Drake/訳=三枝小夜子

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