恐竜に寄生した吸血ダニ、琥珀で発見、9900万年前

血を吸って通常の8倍に膨れた個体も、初の直接的な証拠

2017.12.14
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DNAはとても壊れやすい

 ミャンマー北部のフーコン渓谷からは近年、トカゲや花、昆虫や鳥の羽をはじめとする状態の良い琥珀が見つかっている。中でも圧巻なのは、羽毛に覆われた小さな恐竜のしっぽや、エナンティオルニス類のひな鳥だろう。(参考記事:「恐竜時代のひな鳥を発見、驚異の保存状態、琥珀中」

 今回の研究では、4つの琥珀の中にダニが5つ見つかった。民間のコレクターが米ニューヨークのアメリカ自然史博物館とペンシルベニア州ピッツバーグにあるカーネギー自然史博物館に寄贈したものだ。

スペインのカバニェロス国立公園内の生きているダニ。(PHOTOGRAPH BY E. PEÑALVER VIA NATURE COMMUNICATIONS)
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 そのうちの新種の1つは、吸血鬼ドラキュラにちなみ、Deinocroton draculiと名付けられた。血をたっぷり吸って死んでいたからだ。だが、『ジュラシック・パーク』のファンには残念なことに、恐竜のDNAを抽出するのは不可能なようだ。ダニは琥珀の表面近くに閉じ込められているため、完全な状態で残っているわけではない。(参考記事:「恐竜から深海魚まで、世界で活躍する若き日本人研究者」

 また、研究者らは、血液の痕跡の中から鉄分の科学的特徴も探し出そうとしたが、鉄分は鉱物にも混入しているため、特定には至らなかった。

 DNAは非常に壊れやすい分子であり、このような古い化石には残っているとは考えにくいとペレス・デ・ラ・フエンテ氏は語る。とりわけ琥珀ができる過程における、極端に乾燥したり、大きく温度が変動したりするような状況は、DNAが存在し続けるためには最悪だという。

 その代わりに、今回見つかった寄生生物に研究者たちは興奮を隠しきれない。ダニと一緒にカツオブシムシ類の幼虫に生える細毛も発見された。現代では鳥の巣でよく見られる小さな昆虫だ。(参考記事:「ダニの奇妙な世界」

琥珀に閉じ込められた2匹の新種のダニは吸血鬼ドラキュラにちなみDeinocroton draculiと名付けられた。(PHOTOGRAPH BY E. PEÑALVER VIA NATURE COMMUNICATIONS)
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「琥珀には、環境の中の小さなものを樹脂で保存するという特徴があります」とペレス・デ・ラ・フエンテ氏は話す。琥珀の中に閉じ込められたものが、宿主となった動物たちの営巣行動を示す確固たる証拠になるという。

「カツオブシムシの細毛がついた、このダニは樹液に覆われる前に羽毛を持つ宿主の巣にいたということです」

 マッケラー氏によれば、今回の結果は「琥珀に残されたわずかなものから、どれほどの情報が得られるかということを示している」だという。

文=John Pickrell / 訳=上村知子

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