史上最多、215個の翼竜の卵を発見、中国

「翼竜は生まれてすぐ飛べた」とする従来説が覆されるかもしれない

2017.12.04
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中国北西部の新彊ウイグル自治区にあるハミプテルスの化石の発掘現場では、翼竜の骨が数百点発見されている。(PHOTOGRAPH BY ALEXANDER KELLNER, MUSEU NACIONAL, UFRJ)
中国北西部の新彊ウイグル自治区にあるハミプテルスの化石の発掘現場では、翼竜の骨が数百点発見されている。(PHOTOGRAPH BY ALEXANDER KELLNER, MUSEU NACIONAL, UFRJ)
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生まれてすぐには飛べなかった?

 翼竜の卵が湖に運ばれてきたとき、激しい水流で卵の多くが割れてしまったが、卵の中に堆積物が入ったおかげで、細長い形をとどめた状態で保存されることになった。このうち少なくとも16個の卵の中には翼竜の胚の繊細な骨格が入っていて、1個の骨は孵化したばかりの赤ちゃん翼竜のものと推定されている。

 骨の構造の専門家で、論文の共著者であるブラジル、リオデジャネイロ連邦大学のジュリアナ・サヤン氏は、「骨を調べれば、胚や、幼体や、成体になったときの特徴を知ることができます」と言う。「翼竜の成長段階をみわたすことができる、これまでにない記録です」

 研究者は、さまざまな段階の化石骨を比べることで、ハミプテルスの発達について大まかに把握することができた。ハミプテルスの後期段階の胚にはまだ歯がなく、前肢は後肢ほど発達していなかった。これは意外だった。これまで多くの古生物学者が翼竜は孵化するとすぐに飛べたと考えていたからだ。今回の化石は、ハミプテルスの成長が遅く、幼いうちは四つの脚で跳ね回っていたことを示唆している。(参考記事:「鳥の卵の形にまつわる謎を解明、カギは飛行能力」

 翼竜の動作の再現の専門家である米国、南カリフォルニア大学の古生物学者マイク・ハビブ氏は、「彼らの推論は良いと思います。結果も興味深いですね」と言う。彼は、この化石の力学的な分析が行われ、小さな翼竜がどのくらい上手に飛べたかが明らかになることを期待している。

発掘地点の岩石からは、ハミプテルスの卵のほかに、成体のバラバラになった骨も見つかっている。ほかの種の化石は見つかっていないが、古生物学者はまだその理由を特定できていない。(PHOTOGRAPH BY ALEXANDER KELLNER, MUSEU NACIONAL, UFRJ)
発掘地点の岩石からは、ハミプテルスの卵のほかに、成体のバラバラになった骨も見つかっている。ほかの種の化石は見つかっていないが、古生物学者はまだその理由を特定できていない。(PHOTOGRAPH BY ALEXANDER KELLNER, MUSEU NACIONAL, UFRJ)
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 さらなる研究により、ハミプテルスの繁殖の詳細が明らかになるだろう。ハミプテルスの卵の殻は現代のウミガメに似たやわらかい皮革状であるため、卵を守るためにどこかに埋めていたと考えられるが、その場所や方法は不明である。 メスが何個の卵を産んでいたかも、繁殖集団の規模もまだわからない。(参考記事:「翼竜の卵、軟らかい殻に覆われていた」

 もちろん、ハミプテルスの発達に関する今回の仮説は、今後修正される可能性はある。研究チームが発見したいくつかの最大級の胚も、実は孵化直前の段階ではないかもしれない。そうだとしたら、発生の進み方を最初から考え直す必要がある。こうした点を明らかにしていくため、ワン氏のチームは中国北西部に残って化石探しを続ける予定だ。

 論文共著者であるリオデジャネイロ連邦大学の古生物学者アレキサンダー・ケルナー氏は言う。「私が期待するものですか? 1つは、もっと多くの胚が見つかること、もう1つは、巣から動いていない卵が見つかることです。これが見つかれば、多くのことが明らかになるでしょう」(参考記事:「史上最大の翼竜、こんなに頭が大きかった」

文=Michael Greshko/訳=三枝小夜子

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