無毛のイヌは、クリストファー・コロンブスや16世紀のスペイン人宣教師ベルナルディーノ・デ・サアグンといった、ヨーロッパからの記録者の目にも留まった。サアグンは、アステカ人が夜になるとショロを毛布の中に入れ、暖を取る様子を書き残している。ショロの毛のない体は熱を非常によく伝え、古代における湯たんぽのようなものとして病人や老人に使われた。20年来のショロのブリーダーで、「アメリカ・ショロイツクインツレ・クラブ」の元会長でもあるケイ・ローソン氏の観察によれば、ショロは「具合の悪い人を察知する」という。「痛む箇所を正確に探し当てます」
シチメンチョウと並び、ショロは古代メソアメリカ人が食用にした数少ない家畜の1つだ。米テヘラス・プエブロ博物館の館長で考古学者のマーク・トンプソン氏は、新世界にやって来た征服者(コンキスタドール)たちが手近な動物性タンパク源として目を付け、絶滅寸前になるまでショロイツクインツレを食べてしまったと話す。(参考記事:「絶滅と考えられていた犬、半世紀ぶり見つかる」)
1956年にメキシコで公式に犬種として認められた頃には、ショロは絶滅寸前の犬種になっていた。しかし現在、この歴史あるイヌは復活を遂げており、特にイヌの毛にアレルギーがある人たちに歓迎されている。だがブリーダーのローソン氏は、誰でも飼えるイヌではないと注意を促す。(参考記事:「犬は人が見ると「悲しげな子犬の顔」をすると判明」)
「四六時中ショロと一緒にいると思わなくてはなりません」とローソン氏。「ショロはドアを開けられますし、ケージも開けることができます。原種に近いイヌで、非常に頭がいいのです」