新石器時代のワイン、世界最古の残留物を発見

東欧の国ジョージア、ワイン造りのルーツ

2017.11.16
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 カフカス山脈の懐に抱かれた国ジョージアは、新石器革命が起こった地域に近く、8000年経った今でも、ワイン造りに情熱を燃やしている。この地を原産とするブドウの種は500種以上。長年にわたり人々が改良を重ね、育ててきた証しだ。トビリシのにぎやかな下町へ行っても、今なお残るソビエト時代のぼろアパートの壁にブドウのつるがはっている。(参考記事:「ソ連時代の鉱山、時が止まったような街と人々の暮らし 21点」

この写真のものも含め、ジョージアで出土した土器から採取された有機残留物は、ワイン醸造の最古の証拠となった。この壺の形によく似たクべブリと呼ばれる容器は伝統的にワイン造りに用いられ、ジョージアの醸造所に今も残っている。(PHOTOGRAPH BY MINDIA JALABADZE AND COURTESY NATIONAL MUSEUM OF GEORGIA)
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「この地域のワイン文化は、深い歴史的ルーツを持っています」と、ジョージア国立博物館の館長デビッド・ロードキパニーゼ氏は語る。「新石器時代の容器に似た大きな壺は、今でもジョージアでワインの醸造に用いられています」

 米スタンフォード大学の考古学者パトリック・ハント氏は、今回の研究結果から、石器時代の人も複雑で豊かな生活を送り、現代の私たちと同じような興味や悩みを持っていたことがわかると話す。

「ワイン造りは、生存に必要な営みというわけではありません。当時の人々も、実用的なことだけをやって暮らしていたのではないということがわかります。過渡期にあった新石器時代ですら、私たちが思う以上に洗練されていたのでしょう」(参考記事:「史上最古のカレンダーを発見、イギリス」

蜜蝋が塗られた大型のクベブリは、ジョージアで今もワインの醸造に使われている。これを首まで地中に埋め、何世代にもわたって使用する。(PHOTOGRAPH BY BRIAN FINKE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 ガダチリリ村の近くで当時栽培されていたブドウの種と似た現代の種が見つかれば、その近くでブドウ園を作って、先史時代の人々がどのようにワインを醸造していたのかを研究したいと考古学者らは考えている。

 発掘作業は、まだ一番底の最も古い層には達していない。バティウク氏は、「今後さらに古い時代のワイン醸造の証拠が見つかるかもしれません。今私たちは、西洋で数多くの文化において中心的な役割を果たしてきたワインの歴史をなぞっているところです」と話している。(参考記事:「ワインの国フランスを揺るがした大事件」

文=Andrew Curry/訳=ルーバー荒井ハンナ

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